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季節を味わえない時代

今年の夏は、気付けば音を立てずに始まっていた。冬にしか聞かないウイルスの情報のせいか、ずっと季節は止まったままのように感じていた。

今夜は少し遠くから花火が打ち上がる音が聞こえた。少し遅れた夏の始まりを告げるように。

毎年恒例だった市内の花火大会は予告もなしに今年は開催されなかった。僕は花火大会に毎年行くわけではないけれど、あのドーンと打ち上がる花火の音がいくつもして初めて本格的な夏が始まるような、そんなワクワクがいつもあった。

今年の夏の夜はずっと静かなままで、だから気付けば「もう八月なんだ」とビックリするほど今年の夏の始まりはあっさりしていた。夏にしか感じられない大きな花火の音が聞こえてこないと、今年の季節は夏でもなんでもないような気がするのだ。

近くの海水プールだってマスクをしたままでなければ遊べないと聞いている。今の子ども達はこんな時代をどう思っているのだろうか。僕達が子どもだった頃は当たり前のように夏は川辺に言ったり、花火をしたり、星座を見に行ったりなんかしていた。

あの頃は無邪気だった。自由だった。何にでもなれるような気がした。だけど今の子ども達は季節を感じることも出来ず、ただ不自由で、きっとあの頃の僕達のようにはきっとうまく笑えていないだろうと思う。

「いつかそんなこともあったね」と笑える日は来るかもしれないけれど、今日という一日は一度きりしかないわけで。そんな大切な日々を、来年も、再来年もウイルスによって奪われてしまうかもしれない。

考えたくはないけれど、情報が途切れることはない限りこの状況は最悪なまま続くと思う。旅行にだってきっと気軽に行けないね。「○○から来ました」なんて言えばきっと嫌な顔をされてしまうこともあるだろうね。

それぐらい今誰もが情報に敏感になっている。気温は高くて暑いのに、世界はずっと凍りついたままみたいだ。

時々、心が折れてしまいそうになる。それでもなんとか頑張らなきゃいけない。そうはわかっていても、どうにもメンタルをコントロール出来ないことだってあるだろうね。

そんなときは立ち止まってもいい。僕だって何度も立ち止まってる。ただそれでも時は進んでるから。しばらく季節を感じることは出来ないかもしれないし、季節ならではの楽しみを味わえなくなるかもしれないけれど、前を向いて進んでいかなきゃと思う。

情報ばかりを鵜呑みにせず、今自分が出来ることは何か。一人一人が考えてこれからは行動していかなければいけない。

季節など忘れて、自分のために、誰かのために何が出来るか。自由に羽を広げて欲を満たそうとしている場合ではない。

いつまでも自由でいられる時代は続かない。時代は変わっていくから、時代が変わると共に、時代に合わせた生き方をしていかないとこれからは生き残れない。

一人じゃないからね。一歩ずつゆっくり今の時代を生きていこう。きっと力を合わせれば、光は見えてくるから。僕はそう信じて、何とか今日を、明日を生きていきたい。

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KOHEI
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