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名古屋グランパス 補強診断〜チーム別補強診断#11〜
こんにちは。
Jリーグも開幕してから数ヶ月が経ち、すでに前半戦が終わり、チーム状況を見直しての目標の再設定が行われています。
そこで、「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。
これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。
第11回となる今回は、名古屋グランパス編です。
なお、すべての情報は6月12日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。
補強動向
改めて、今オフの名古屋グランパスの補強動向を振り返っていきましょう。
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なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#11 ~名古屋グランパス編~』に記載されている表になります。
この表に記載されていない移籍情報は以下の通りです。
【IN】
内田宅哉 ←FC東京(期限付き移籍)
石田凌太郎 ←徳島ヴォルティス(復帰)
【OUT】
成瀬竣平 →ファジアーノ岡山(期限付き移籍)
なお、石田選手は今季期限付き移籍しての復帰でしたので、今回の記事で言及する気はありません。
試合結果
選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。
J1リーグ
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ルヴァンカップ
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天皇杯
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個人スタッツ
それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。
①東ジョン(←栃木SC)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
東選手は、2021シーズンにグランパスU18よりトップチームに昇格しましたが、昇格と同時にJ2の栃木SCに育成型期限付き移籍をしました。栃木SCでの公式戦での出場はありませんでしたが、身長187cmと大柄な選手です。
J2の中で、プロのレベルを痛感した一年であったとは思いますが、高齢化が進んでいる(ランゲラック選手33歳、武田選手34歳など)グランパスの未来の守護神候補として所属元であるグランパスでプレーさせるという判断ではないでしょうか。
考察
グランパスのGKには、JリーグNo.1と言っても過言ではない、元オーストラリア代表のミッチェル・ランゲラック選手が守護神として君臨しています。控えにも、経験豊富な武田選手や渋谷選手が所属しており、いきなり試合に出るということは、昨季所属していた栃木SCよりも難易度が高いということは明確です。
その上で、ランゲラック選手の負傷というイレギュラーな状況ではありましたが、直近のルヴァンカップや天皇杯でベンチ入りしており、名古屋グランパスのトップチームの中で、徐々に立ち位置を掴んできているような印象です。
評価
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評価は『B』としました。
昨季、栃木SCで出場できなかったということを踏まえても、名古屋グランパスでいきなり出場することは期待されていないでしょう。その中で、ベンチ入りを果たすなど徐々に立ち位置を掴んできていることはポジティブな要素です。
②河面旺成(←大宮アルディージャ)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季は、J2の大宮アルディージャで19試合に出場しました。その後、センターバックの不足に悩んでいた名古屋グランパスに移籍しました。
昨季後半戦に加入し活躍したキム・ミンテ選手が期限付き移籍期間満了に伴い退団したことに加え、ボランチでの起用も多かった木本選手がFC東京へと移籍をしてしまったこと。そして、キャプテンでもあった丸山選手が負傷していたことを踏まえると、センターバックの頭数は3人分減っており、センターバックの獲得は急務でした。
長谷川健太監督の就任に伴い、ポゼッションではなく、カウンターサッカーを志向する中で、183cmと身長は高くないながらも、弾き返す力の強い河面選手の獲得は合点がいくものです。
中谷選手や新加入のチアゴ選手もいるため、「主力」というわけではなさそうですが、「準主力」としての獲得でしょう。
考察
今季のリーグ戦でのベンチ入りは3試合、ルヴァンカップでの出場は1試合のみと正直、全くと言っていいほど試合に絡むことができていません。現状、負傷などのアナウンスがないため、負傷がない状態であると考えると、完全に戦力になりきれていない状態が続いているのが現状でしょう。
若手の藤井選手が台頭したということもありますが、それでも獲得時の想定より低い活躍度であることは否定できません。
評価
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評価は『D』としました。
「主力」での活躍ではないとは言えども、この試合に絡めてなさは期待はずれと言わざるを得ません。トップチームの構想外が続いている現状は、非常に寂しいもので巻き返しに期待したいです。
③チアゴ(←セレッソ大阪)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季は、同じくJ1のセレッソ大阪でプレーしていましたが、若手の瀬古選手(現:グラスホッパー)と西尾選手の台頭により、期待された「マテイ・ヨニッチの後釜」という活躍はできず、キム・ミンテ選手が退団した名古屋グランパスに期限付き移籍で移籍しました。
このような、獲得理由を踏まえると、「キム・ミンテ選手の後釜」と考えるのが妥当で、「主力」としての活躍が期待されているものであると言えます。
考察
今季は開幕戦でスタメンフル出場を果たすと、その後も半分程度の試合に出場しています。
リーグ戦では、ここまでの16試合の中で、先発出場は5試合です。丸山選手が復帰したこともあり、ベンチ外となってしまっている試合も最近は増えており、期待通りの活躍かと言えば若干厳しいところもありそうです。
評価
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評価は『C』としました。
試合に絡めていないなどというわけではありませんので、『D』は違うと思います。その上で、丸山選手の復帰後に出番が…ならOKだとは思いますが、若手の藤井選手の台頭(もちろん、チームにとってはいいこと)に負けてしまっているということが、当初の期待値よりは少し劣っていると考えました。
④吉田温紀(←名古屋グランパスU18)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
吉田選手は、名古屋グランパスの下部組織出身の選手で過去には、U18やU20での日本代表経験もある選手で、下部組織時代の本職はセンターバックでした。
182cmと身長はあまり高くありませんが、ビルドアップ能力に優れている選手で、丸山選手や中谷選手といった不動のレギュラーがいる中で、いきなり主力となることは非常に難しく、まずは出場機会をカップ戦などを中心に得たいところです。
考察
今季は、センターバックではなくボランチなど中盤での起用が多く、起用方法としては、昨季の木本選手に近しいところです。
現在は、ルヴァンカップ4試合に出場しており、グループリーグの最後2試合では連続でスタメン出場を果たしたことや、リーグ戦でも複数の試合でベンチ入りしていることなどから、プロ一年目ということを考えれば、上出来と言えるのではないでしょうか。
評価
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評価は『A』としました。
評価に関しては、『B』と悩みましたが、日本代表級の選手が複数所属している名古屋でルヴァンカップを中心に試合に出場しているということは、非常にポジティブな要素で、完璧なパフォーマンスとは言えませんが、当初の期待値を上回っていると言えるのではないでしょうか。
⑤レオ・シルバ(←鹿島アントラーズ)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
鹿島アントラーズで、主力として「中盤の番人」として活躍していた選手ですが、近年は出場機会を減らしており、今季より名古屋グランパスへと移籍しました。
タイプ的には、近しい米本選手が退団しており、米本選手の後釜というのが妥当でしょう。ダブルボランチの際には、稲垣選手とコンビを組み、アンカーの際には、レオ・シルバ選手が主力となることが想定されての「主力」としての獲得と言えるでしょう。
ちなみに、長谷川健太監督はFC東京時代にアルトゥール・シルバ選手を獲得しており、その際には「レオ・シルバ級になれる選手」と評しており、この獲得は「本物のレオ・シルバを手に入れた」と話題になりました。
考察
今季は、開幕戦でスタメン出場を果たすと、リーグ戦では第15節を除き、全試合でスタメン出場を果たしており、完全に主力になっていると言えます。
控え組で臨むこともあるルヴァンカップでも、5試合に出場(4試合に先発)しており、チームの中で非常に重要な役割を担っているということは明らかで、長谷川健太体制でカウンターサッカーをするために、中盤の強度を保つ鍵となっています。
評価
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評価は『S』としました。
鹿島アントラーズで出場機会を減らしていた中で、J1の舞台でどの程度通用するかと思っていましたが、名古屋グランパスで主力となっており、まだまだJ1で通用するということがわかりました。
チームの中で、欠かせない選手となっており、非常に多くの試合に出場しちる現状は、期待値以上と言えるのではないでしょうか。
⑥酒井宜福(←サガン鳥栖)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
昨季は、J1のサガン鳥栖でリーグ戦33試合に出場し8ゴールと結果を残し、これまでのサイドハーフから最前線にポジションを変更し覚醒しました。
サイズの大きいFWでありながら、ミドルシュートなど非常にインパクトの残る活躍をし、今オフに草刈り場になったサガン鳥栖の中で、引き抜かれた主力の一人です。
名古屋グランパスは、金崎選手が負傷離脱していたことに加え、山崎選手が退団しており、新たなエース候補として獲得したと言えます。元々は、山下選手(現:FC東京)にオファーをしたということですが、断られてしまい、酒井選手を獲得しました。
「新エース候補」として、昨季の8得点を超える活躍が求められます。
考察
今季のリーグ戦では、開幕より最前線で主力として継続して出場していますが、ここまでに1得点と結果を残すことができておらず、「エース候補」といった活躍ができていたかと言えば、そうではありません。
一方で、サイズの大きいFWということで得点以外の面でも貢献度は非常に大きく、求められている最低限の活躍はできていると言えます。
評価
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評価は『C』としました。
「新エース候補」としての活躍はできておらず、得点以外での貢献度は非常に高いとは言えども、FWととして得点が少ないということはかなり寂しい結果を言わざるを得ません。
ただ、一度、得点を決めることができれば「ケチャどば」のように得点r尿酸をする可能性もありそうです。
⑦仙頭啓矢(←サガン鳥栖)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
酒井選手同様、昨季はJ1のサガン鳥栖で活躍した選手で、酒井選手同様、引き抜きという形で獲得しました。
MFとしては、前田選手が海外挑戦をしており、その後釜と考えるのが妥当でしょう。最低でも「準主力」として、チームにフィットできれば「主力」としての活躍が求められます。
鳥栖の選手ということですので、ハードワークできる選手で、長谷川健太監督のサッカーにマッチする選手でもあり、新たな攻撃の核となることが求められます。
考察
今季は、開幕よりスタメン出場すると、第10節のジュビロ磐田戦を除き全試合にスタメン出場をしており、新加入のレオ・シルバ選手同様に完全に主力となっています。
攻撃の軸ともなっており、サイドハーフではなく、トップ下での起用が多く、中盤と前線の選手を繋ぐリンクマンとして非常に大きな活躍をしており、リーグ戦での得点は2得点のみですが、守備でのハードワークを含め、非常に貢献度が高い選手です。
評価
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評価は『A』としました。
加入後いきなり、主力としてチームに欠かせない選手に成長し、攻撃の核となっているということは、当初の期待値以上ということができるのではないでしょうか。今後は、さらに得点やアシストを求めていきたいところでしょう。
⑧内田宅哉(←FC東京)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
監督の長谷川健太監督が昨季まで率いていたFC東京のアカデミー出身の選手で、昨季はFC東京でJ1初ゴールを挙げるなどある程度の活躍を見せました。
新監督のスタイルを定着させる上で、かつワールドカップがありシーズンが過密日程で早く結果を出さなくてはならないということを含め、多くの試合に出場し、「長谷川健太スタイル」をチームに浸透させてほしいというのが狙いと言えるでしょう。
考察
加入後は、ベンチ外とベンチ入りを彷徨っており、リーグ戦ではここまでに5試合に出場していますが、いずれも途中出場で、そのうち4試合は10分以内の出場時間ということで、正直期待はずれと言わざるを得ません。
先日の天皇杯では、移籍後初スタメンを果たしており、徐々に名古屋のスタイルに定着しているとは思いますが、期待値通りかと言えば微妙です。
評価
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評価は『C』としました。
長谷川健太監督の戦術を熟知しているということを含め、もう少し多くの試合に出場し、チームの結果に貢献してほしいという思いはありますが、なかなかそこまで貢献できていません。
⑨甲田英將(←名古屋グランパスU18)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
名古屋グランパスのアカデミー出身の選手で、この世代では屈指の実力者と言えます。U16、U17、U18、U20の各年代の日本代表に選ばれており、高体連No.1がFC東京の松木玖生選手であるとすれば、JユースのNo.1は甲田選手と言えるのではないでしょうか。
特徴は個人技で、恐れずに何度も仕掛けることができる選手です。一方、課題はクロス精度などで、チャンスメイク力に関してはまだまだ課題が残ります。
圧倒的なポテンシャルを持っている選手ですが、現在の名古屋グランパスにはマテウス選手、相馬選手など実力者が所属しており、いきなり多くの出場機会を積むことは難しいと思いますが、まずはカップ戦などで徐々に出場機会を掴んでいきたいところでしょう。
考察
今季開幕戦こそベンチ外でしたが、第3節のサガン鳥栖線で途中出場からJリーグデビューを果たすと、リーグ戦では4試合に途中出場していました。
ルヴァンカップでは、スタメン出場を含み、5試合に出場しており、現在は負傷離脱中ですが、安定した出場機会を掴んでいた印象です。第9節以降、負傷前の第13節まではベンチ外が続いており、序列の低下も感じさせますが、昇格一年目と意いうことを考えれば全然OKでしょう。
評価
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評価は『A』としました。
高卒一年目で、リーグ戦を含みこれだけの出場機会を掴んでいるということは、普通の高卒ルーキーではあり得ない話で、素晴らしい結果と言えます。現在、負傷離脱中ということは悲しいですが、復帰後はまた活躍してくれるでしょう。
⑩豊田晃大(←名古屋グランパスU18)
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試合スタッツ
・Jリーグ
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・ルヴァンカップ
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・天皇杯
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獲得理由
そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。
アカデミー出身の選手で、身長が171cmとかなり小柄な選手ですが、それでもU15、U16、U17、U18の日本代表に継続的に選出されていました。
得点嗅覚に優れている選手ですが、トップ下やボランチでのプレーも可能な選手で、ユーティリティー性が持ち味の選手です。視野の広さも魅力で、高いチャンスメイク力も持ち味です。
しかし、現在の名古屋グランパスを見ると、元日本代表の金崎選手や柿谷選手 などが所属しており、いきなり出場開会を得ることは難しく、将来的には昨季まで所属していたガブリエル・シャビエル(現:北海道コンサドーレ札幌)のようなタスクをこなすイメージではないでしょうか。
考察
今季は、ここまでにリーグ戦でのメンバー入りはありませんが、ルヴァンカップ1試合に出場しており、先日の天皇杯でもメンバー入りを果たしました。
先日の練習試合でも活躍したという情報もあり、徐々にプロのサッカーに慣れてきているというイメージではないでしょうか。
評価
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評価は『B』としました。
先ほどの甲田選手が素晴らしい結果を残しており、見劣りしてしまう感がありますが、選手層が厚い名古屋でということを考えると、及第点と言えそうです。
全体評価
それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。
東ジョン B
河面旺成 D
チアゴ C
吉田温紀 A
レオ・シルバ S
酒井宜福 C
仙頭啓矢 A
内田宅哉 C
甲田英將 A
豊田晃大 B
以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。
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全体評価は「B」としました。
監督交代が起き、スタイルに若干の変化が見られた今シーズン。監督の戦い方を熟知している内田選手など獲得した選手の中で、ほとんど試合に絡めていない選手もいます。一方で、レオ・シルバ選手や仙頭選手などすでに絶対的な主力になっている選手もおり、全体で見れば『B』が妥当でしょう。
最後に
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