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だれのものでもなかったあたし

今日は久々に本を読みました。
『すみれの花の砂糖づけ』–江國香織
江國さんの詩集です。

江國さんとは高校生の頃出会いました。
国語の授業で『デューク』を読んでから虜になりました。
淡々と述べているのに、文章に深みがある、味わい深い文章だなと思いました。
本屋に行って買い漁っては授業中も隠れて読んでいました。
高校生の私には分からない感情の動きが綴られていましたが、そんなことも気にせず読んでいました。私にはそんなこと問題ではなかったのです。
時間が経ってから読み返したときに新しい発見がある。新しい共感がある。それこそ私の好きな味わい深い文章だと思っているからです。
そして、その言葉の意味を本当の意味で汲み取った時、私はまた少しだけ大人になったんだなと自覚します。

この本で気に入った詩は『きたえられた肉体』です。
抜粋します。

あたしはからだがやわらかいので
あなたの下で
どんなかたちにもなれるよ
でも
あなたはこころがやわらかいので
あたしの言葉のとげなんて
みんなきゅうしゅうしちゃうんだね
暴力的なつもりの言葉さえ
消化吸収しちゃうんだね
さすが きたえられた肉体だね
けんぜんなたましいだね
はがたたないよ

健全な魂に歯が立たない。
私にもそんな経験がある。
そんな時は決まって私の方がバカらしくなって折れるのです。
きたえられた肉体というのは、どんなものからも守ってくれるような安心感がある。そして、広い心を持っているものだと勝手に思っています。
健全であり、健康な魂だなと。
だからあたしの言葉のとげをへし折るんじゃなくて、消化して吸収できるのだと思います。

そして、考え事をしすぎて頭がパンクしそうになったら次の詩を思い出すことにします。
どっちみち
百年たてば
誰もいない
あたしもあなたも
あのひとも
(無題-江國香織)』

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