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AI時代をサバイブする:苦行から解放された楽しい研究を

Noteを書くことになった経緯

最近、いろんな方からお問い合わせをいただくことが増えました。「研究成果がたくさん出ているけど、どうやっているの?」「25人以上の学生をどうやって指導しているの?」といった質問を多く頂きます。また、「機械学習を始めるとき、何をどのようにしたの?新しい分野に入るのは大変じゃないの?」など、具体的なこともよく聞かれます。(質問は大歓迎です)

私がいる理科大は、学生の数が多くて、教育やガバナンスの業務も多い、いわゆる忙しい組織です。そんな中でどうやって成果を出しているのか、多くの方が興味を持ってくださっているようです。せっかくなので、これを機に自分の取り組みや考えをまとめておこうと思ったのです。大学に来てから9年が経ち、10周年の節目も近いので、情報が新鮮なうちに形に残しておこうと思います。


そもそも、ものづくりでは苦行や理不尽が多く、そういった問題点から脱却したいと常々考えていました。研究開発では単純作業が延々と続いたり、成果が出るまで多大な労力がかかります。属人的な判断が残っていたり、そして予算やマンパワーに縛られる状況が長らく続いていました。その中で「開発の中心を人間に取り戻し、人間の能力を発揮させ、楽しく研究しつづけるにはどうすればよいか?」を考えるようになりました。

令和という時代は「人の時代」とも言われ、配慮が求められる現代社会です。コンプライアンスやハラスメントの問題などもあり、コミュニケーションやチームワークの在り方が見直されています。若手の研究者や開発者は、キャリアに対する不安が依然として大きいのが現状です。先行きが不透明で、漠然とした社会不安も広がっています。安定的な会社組織が必ずしも存在するわけではなく、社会は絶えず変わり続けています。

そんな中で、私たちはどのように生き残っていくか、真剣に考える必要があります。つまり、今の時代に合った新しい研究スタイルを作り上げていくことが求められているのです。人間の創造性や柔軟性を活かし、苦行や理不尽から解放された、新しい戦略が必要に思います。テクノロジーを活用しつつ、人間らしさを大切にすることで、ものづくりに新たな価値を生み出せると信じています。


これまでの自分の歩みを振り返ると、実は、私はポスドク一万人世代のど真ん中にいました。いわゆる第一次氷河期世代です。海外での研究経験もさせていただきましたが、ポスドクの期間もありました。国の公的な研究機関での仕事の経験や、国立大学と私立大学の両方で指導の経験もあります。世界一の研究プロジェクトに複数携わる一方で、大学生の人材育成や一般の方向けのアウトリーチも行ってきました。

他のスター研究者のように、決して順風満帆な道のりではありませんでしたが、さまざまな経験や分野を切り替えてきたからこそ、伝えられることがあるのではないかと感じた次第です。秘密のノウハウを蔵出したり、赤裸々な日常もさらけ出すことになるかもしれませんが、それも含めてみなさんと共有したいと考えています。

詳細はこのnoteで綴っていきたく思いますが、いろいろなアプローチが有りって正解は一つでは無いと思います。まず現実的な対応としては、業務上の様々な不安を一つずつ解消することで、自由度と効率が向上することになります。これがしっかりとした成果や、楽しく仕事をすることにつながるはずです。つまり、良いサイクルで毎日が回っていくのです。

一つだけ言えるのは、大切なのは技術や装置またAIやデザイン思考ではありません。「人の力を大切にし、人を信じる」ことです。

AI時代だからこそ、考えるべきことが多くあります。新時代の研究者・開発者として、良いエコサイクルを作り、次世代の研究者が楽しく充実した毎日を過ごせるようになればと思っています。この世界のどこかの誰かの一助になることを願って。

研究を楽しく!!!

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