手のひらの小石
空や花、風景や人たち。目がくらむような朝日。
雨の降りしきる夜明けにも。
どこを切りとっても美しくこゝろに響くものが
わたしを囲むように近くにあります。
仰いでみても見下ろしてみても感情とともに
一瞬とゆう奇跡がそこにあって
それは記憶に刻まれる一瞬でもあるのです。
○○○
小石を集めて遊んでいた子どもの頃
かじかむ手で握りしめていた小石が
わたしのからだと同じ温度になりました。
冷たいものがあのようにこゝろある姿に
変わったのです。
小石をポケットに入れて時々手のひらにのせては
自然に生まれるあたたかなしあわせと安心感を
幼い肌で感じていました。
小石のわたしに向けられた深い思いは
今に至って、わかるような気がしています。
あの時のように今あるものを握りしめること
そんなわたしでありたいと思うのです。
いつの日か誰も何も覚えていなくて
もう何も思い出すことがなくなっても
その日が近くあっても遠くあっても
空のようにおおらかに勇み立ちながら
花のようなら素直でひたむきに
海のようなら自分の役割を果たそうとする、そんな
わたしでありたいと思うのです。
○○○
木々の芽がふくらみ花々が咲き始めました。
虫たちも目覚め、子どもらが駆け出します。
新しくなろうとするものことが動き始めるこの季節に
noteさんからお知らせが届いていました。
ここに書き綴って一年が経ったことを知りました。
書きたい、読みたい、残したい、始めようか
どうしようかと何度も迷いつつ、踏み入ったこの場所。
こちらにはすばらしいクリエイターさんが溢れていて
さらっと読むにはあまりにもったいなくて
何度も読み返したり意図を探ったり想像を膨らませたり
自分なりの楽しみ方を模索していますが
慣れないものと親しくしてゆくこゝろの不安が
邪魔をしてますますゆっくりペースな拙記事になり
皆さまを前に気持ちがすくむ思いは否めません。
それでも少しずつ読みに来てくださる方が増えたこと
お気持ちを残してくださること
過去記事から初投稿にまで足を運んでくださること
遠くから静かに目を澄ましてくださる所作も
いつでもやさしさや思いやりに支えられていることは
書き綴る上で存分に励みになっています。
こゝろからありがとうございます。
小石、たかだか小石。
○○○ ○○○
逃げることなどできない日々の
ただゆっくりとろ過されて沈殿したものを
ひとつひとつ掬いあげて寄せ集めてゆけば
小さくて弱々しくて、もしかすると
消えてしまいそうでも確かな小石が
あたたかなひかりのような小石が、音もなく影もなく
忍び寄るように静かにそれはわたしの手のひらに
やってくるのではないだろうかと思ったりするのです。
世界中でたったひとつの特別で繊細な小石となって
わたしのもとにやってくるのではと。
わずかずつでもそのような自分の気持ちを
できるだけていねいに掬いながら握りしめながら
日々を過ごしてゆけたらと思います。
春の佳き日に、今わたしの手の中にある小石を
ぎゅっとあたためながら、そう思います。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
皆さまのさらなるご活躍を祈りながら。
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