勇気の出し方
昔、わたしはとても後ろ向きだった。
ネガティヴ思考というか、ここからの展開において、最悪のパターンを検討して、それだけはならないよう行動してきたところがある。
そうすると、もちろん、物事はあんまりうまくはいかない笑
最悪は回避できるけれど、一歩踏み出せない。
加えて、ベースがネガティヴなので、人生はそんなに楽しくならない。
特に私の場合は恋愛関係が弱かった。
ちょっと気になる男の子がいても、その気持ちを徹底的に滅するのが得意技だった。
全くもって、損な得意技である。
そんな私を、学生時代の友人は「バックギア全開」とよく笑っていた。
彼女は私とは反対に、自信を持って人生を漕いで行くタイプ。
自分のネガティヴに、ほとほと疲れてしまったある日、わたしは彼女に聞いてみた。
どうしたらそんなに、行動に移せるのかと。
そしたら彼女はこう言った。
『 勇気は出してりゃ出し慣れる 』
語呂も良かったのだろう。
タイミングも良かったのだろう。
なぜかその言葉は、私の心にじーんと染み渡り、いまだに座右の銘のようになって、人生の場面場面で私を導いてくれている。
***
そして今、私はどちらかといえばアクセル全開である。
きっと大丈夫だという安心感が、私の深いところに流れている。
心構えが変わるだけで、あの頃とは世界が180度変わって見えるから不思議だ。
私の中で、この変化は一つの奇跡だと思っている。
勇気は出してりゃ出し慣れる。
怖々、「あの人実はちょっと気になる」と友人に伝えてみたはじめの一歩。
手紙を書いてみた大きな一歩。
振り返るとこそばゆくて笑ってしまうが、そういう小さな一歩が次の一歩を呼んで、
人生のいろんな場面で私を踏み出させてくれた。
あのバックギア全開の日々の自分に教えてあげたい。
本当に勇気は出してりゃ出し慣れた。
今ではいい大人になったにも関わらず、興味ある事にあれやこれや手を出して、失敗の怖さより、やってみたいを取る子供のようである。
それもこれも、あの日の彼女の言葉があったおかげだし、バックギア全開の自分が、怖々、その時の最大の勇気を振り絞って、一歩進んだおかげだと思う。
その時の失敗する事もある。
けれどそれ以上に、周りの温かさも知ることができた。
勇気は出してりゃ出し慣れる。
そして、その勇気は、思ってるよりもう少し、斜め上に人生を面白くしてくれる。
あなたの小さな勇気にも、火が付きますように。