『ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則』のレビュー第二十回を投稿します。
(各回をまとめたマガジンはこちらです。)
※ こちらのレビューは、非常に内容が濃い本書を私なりにまとめた「概要」です。
興味をお持ちになった方は、ご購入の上、本レビューを副読本的にお読みになることをお勧めします。
第4部 脚本の執筆
18 ことばの選択
【ダイアローグ】
「例えば道でばったり会った友人と、天気やスポーツやショッピングの話をするのは、友人同士であることを確認し合うためであって、会話の中身が重要なわけではない」と著者は言い、これに対して映画内の会話(ダイアローグ)には、以下のことが求められると述べています。
例えば、以下のような台詞が「悪い例」であると著者は言います。
これに著者が手を加え、映画のダイアローグとして適切なものにしたのが、以下の台詞です。
自分が書いた台詞が映画のダイアローグとしてふさわしいものになっているかどうかを確認する方法として、著者は「声に出して読むか、さらによいのは録音すること」と述べています。
短い台詞
たとえ長台詞の途中で聞き手の顔にショットを切り替えたとしても、問題は解決しないと著者は言います。
「人生はつねにアクション/リアクションのやりとりである」ということを踏まえるならば、映画における長台詞も、アクション/リアクションに分割して、話者の言動を明確にすべきだ、と著者は言います。
例えば映画『アマデウス』の脚本では、サリエリが神父に告解するシーンの長台詞は、以下のように書かれています。
サスペンス型の文
上に挙げた『アマデウス』のサリエリの台詞も、多くが「サスペンス型の 棹尾文」になっていることが分かります。
台詞を排した脚本
「台詞を排したシーン」の良い例として著者は、映画『沈黙』の登場人物アナがレストランでウェイターに誘惑され、その誘いに乗る、というシーンを取りあげています。
【ト書き】
読み手の頭のなかに映画を投影する
私の個人的な経験を振り返ると、脚本を学び始めて最初に難しいと感じたのは、ト書きの書き方でした。
文学的な表現に頼らず簡潔でありながら、読み手の頭の中に情景が浮かぶように書く。
つまりは、”文章を使って映像を描く”ということをしなければならないわけです。
そのためのポイントとして、著者は以下のようなことを挙げています。
いま、この瞬間の鮮明な表現
【イメージ系統】
詩人としての脚本家
脚本家は、ト書きに修辞的な文章を使うことはできません。
ですが、「イメージ系統」を用いることで詩的な表現ができると著者は言います。
イメージ系統は、「外部イメージ」あるいは「内部イメージ」のどちらかによって作られると著者は言い、それぞれについて、以下のように解説しています。
【タイトル】
「タイトルが、二つ以上の要素を同時に表している作品」として、著者は以下のような例を挙げています。
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☆「第4部脚本の執筆 19 脚本家の創作術」に続く
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※このブックレビュー全体の目次は以下の通りです。
第1部 脚本家とストーリーの技術
(1)ストーリーの問題
第2部 ストーリーの諸要素
(2)構成の概略
(3)構成と設定
(4)構成とジャンル
(5)構成と登場人物
(6)構成と意味
第3部 ストーリー設計の原則
(7)前半 ストーリーの本質
(7)後半 ストーリーの本質
(8)契機事件
(9)幕の設計
(10)シーンの設計
(11)シーンの分析
(12)編成
(13)重大局面、クライマックス、解決
第4部 脚本の執筆
(14)敵対する力の原則
(15)明瞭化
(16)前半 問題と解決策
(16)後半 問題と解決策
(17)登場人物
(18)ことばの選択
(19)脚本家の創作術
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