最短距離は行かない

最近「恋愛しない若者が増えている」と聞きますね。
理由は「コスパが悪い」。

日本社会がすべてにおいて、効率を追求してきた結果でしょう。
恋愛、はその一例でしかありません。
学校でも職場でも、「ムダ」を徹底的に省くことが求められます。
「ムダ」は諸悪の根源。

効率の観点から考えると、
楽器演奏の習得は、その逆をいく最たるものです。
このため、音楽教室では、その「効能」を「コスパ良く」見えるように訴えます。

曰く、感性が豊かになる、
継続する力が付く、
合奏で協調性が身につく。

まあ、ウソではありませんが、それらを身につけるためなら他の手段でも可能です。

では、なぜ楽器を「箏を」習う(弾く)のか。
何十年と箏を弾いてこられた先生方から聞くのは
「箏は人様にもお聞かせするけれど、自分との対話なんです」

大川義秋さんも、今は素晴らしい奏者ですが、箏との出会いは、独りで楽器と向かい続けた日々のようですよね。

上手くなるには、演奏会やコンクールは励みになりますが、賞を取ることは結果であって、目的ではありません。
「上手くなる」ということでさえ目的ではなく、うまく弾ければそれだけ自分の気持ちを的確に表現(アウトプット)出来るようになるという手段なのでしょう。

誰の為でもなく、ただただ、箏を弾く。
箏と、そのようなお付き合いが出来る人が、増えるといいなあとつくづく思います。
それが出来ると、たぶん、自分自身がとても楽に息が出来るようになるよ、と知ってもらいたい。

たとえば、
コスパに捕らわれて、最短距離でないと足を踏み出せない人や、
他人目線に捕らわれてしまい、自分を閉じ込めてしまっている人たちに。

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