凶を吉へと「生きる力」に 元伊勢五四 神話は今も生きている ことの葉綴り三八一
三月十七日 神の元種の頒布祭「住吉大社種貸社」さん
おはようございます。今日も春らしい気持ちよいお天気ですね。
今日は歯医者さんとお仕事前のひとときに、「ことの葉綴り」です。
大阪の「住吉大社」さんの「種貸社」さんのご祭神は、倉稲魂命(うかのみたまのみこと)と、種を司る神さまです。
毎年三月十七日には、お祓いされた様々な作物の種「神種」を、「元種」として、農業に携わる方々へとお分けする「神種頒布祭(かんざねはんしさい)」がおこなわれます。
五穀豊穣を祈る信仰が、時代を経て「神の種」を、元手に、子宝祈願に、また商売繁盛にと広がっていきました。
何かを始めるとき「元本」「元手」という考えも大切ですよね。
さて、神話の物語に入ります。
天照大御神さまが、伊勢の神宮にお祀りされるまでの「元伊勢」物語です。
※これまでの1~343回までの、神代~13の神話の物語のまとめはこちらです。お好きな神様の物語をご覧になってください。
荒ぶる神もご祭神「阿射加(あざか)神社」
倭姫命(やまとひめのみこと)さまご一行は、大和国(現、奈良県)を出発なさり、天照大御神さまをお祀りしながら、
伊賀国、淡海国、美濃国、尾張国、そして伊勢国(現、三重県)へとご巡幸で遷られてきました。
天照大御神さまを四年間お祀りして、荒ぶる伊豆速布留神(いつはやぶるかみ)神を鎮めた伊勢の阿佐加の「藤方片樋宮」(ふじかたかたひのみや)は、現在の三重県津市、松阪市といわれており、三社ほど、こちらの「元伊勢」といわれています。
一つ目は、前々回にご紹介しました、三重県津市の「加良比乃(からひの)神社」さんでした。
あとの二社は、三重県松阪市の、
「阿射加(あざか)神社(大阿坂おおあざか)」さんと、
「阿射加(あざか)神社(小阿坂こあざか)」さんです。
ご祭神は、両社共に、猿田毘古大神(さるたひこのおおかみ)さまと、倭姫命(やまとひめのみこと)さまが、お宮を建てて、おもてなしをして、和み鎮めた、あの、荒ぶる神の伊豆速布留神(いつはやふるのかみ)さまです!!!
お仕えする大若子命もご祭神に
垂仁天皇は、倭姫命さまから遣わされた大若子命(おほわくごのみこと)に、荒ぶる神を祀るために様々な贈り物を授け、倭姫命さまが、荒ぶる神に、贈り物を捧げお祀りしたことが、「阿射加神社」の由来なのです。
大若子命(おほわくごのみこと)は、伊勢の国を治めている国造(くにのみやつこ)で、伊勢の国に遷られてきた倭姫命さまのお供としてお仕えすることなった経緯がありました。
倭姫命(やまとひめのみこと)さまの時代には、阿佐賀山に、荒ぶる神の伊豆速布留神(いつはやふるのかみ)のお宮を建てて、種々のお供えをして、懸命にお祀りをしたことで、和まれてお鎮まりになられました。
その後、室町時代に「伊勢国司北畠満雅(みつまさ)が阿坂山に砦を築くときに社地を山より今の地に遷した」そうです。
「阿射加(あざか)神社(小阿坂こあざか)」さんには、神社の由来にも関係した大若子命さまをお祀りする「大若子神社」もあります。
毎年1月14日に近い土曜日の夜には、「粥試し」で、稲作の作柄を、「御火試」は、その年の天候を占う神事も行われ、江戸時代から続く、「かん踊り」で、男子がかんこ踊り、女子がうちわ踊りをおこなう祭りが続いているそうです。
凶は吉に。神話も「生きる力」に
神話に登場した、荒ぶる神さまが、今もちゃんとご祭神としてお祭りされている!!
最初は、祟り神として、鎮めでお祀りされた、天神さまこと菅原道真公が、学問の神として、今もなお、みんなを見守ってくださっているように、こちらの伊豆速布留神(いつはやふるのかみ)さまも、
伊豆は威い(いきおい)、神聖・清浄なことを意味するイツ(巌)という意味もありますので、荒ぶる猛威の力が「変容」して、浄化されて、私たちを見守ってくださっているのでしょうね。
まさに、凶事を吉にかえる……神さまが、体現して「私だって、変わったのだ。あなたも、できるよ」と、教えてくださっている気がします。
人生の、一見、マイナスに思えること、辛い状況、悲しみ、どれも、時と、経験と、祈りとで、「あんなこともあったね。でもあの“こと(凶)”がなければ、今の私はないもんな~」と、心から思えるように!!!
人生にも、光も影もあるもの。その“影”も怖がらず、受け止めて、光へと変換していく力を養えればいいですね。。
神話は今も生きている。それをぜひ、私たちの今を生きる「力」にできるといいですね。
―次回へ
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