踏み出した先にある素敵な世界を見たい
今から20年くらい前、私が高校生だった時。
どんなきっかけで来てくださったのかは、とっくに忘れてしまったが、何かの講演会でとある人のお話を聞く時間があった。
来てくださったのは昨年お亡くなりになった、六代目 三遊亭円楽さん。
私が高校生の時は、まだ楽太郎さんとして活躍されていた。
楽太郎さんと言えば…
落語家で紫の着物で『笑点』に出ている有名人!くらいしか私は知らなかった。
笑点ですらそこまで見ていなかったし、落語を見る機会もほとんどない。
というか興味が無かった。
日々、高校生活を送ることで精一杯。
友だちもいないし、楽しくなかったのだけれど、それよりもどうしたら目立たず、親や周りの人に迷惑をかけずに卒業できるか。そんなことばかり考えていた。
今回読んだ、喜多川泰さんの新刊『おあとがよろしいようで』の主人公 暖平も私と共通するところがあった気がする。
実家を出たくて、東京の大学へ進学したものの、周りの人とうまくやれそうな気がしなかった。
何も楽しみなんてない。バイトしなきゃ食っていけないからサークルなんて入る気がしない。人前に出るのは苦手だし、目立ちたくない。
そう思っていた時に落語研究会に出会い、先輩達から学び視野を広げていく。
私が高校生の時にこの本にもし出会っていたらどうなっていただろう。
楽太郎さんの講演、今でも記憶に残っていただろうか。楽しく学校に行けていただろうか。
高校生にも分かりやすい内容の落語を話してくれていたのかなぁとか、もっと勉強や部活を楽しんで良い思い出作ってとか言ったのかなぁ。
そんなことは全く想像できないが、きっと高校生の私達のためになるような話をしてくれたのだろう。
記憶が無いのが悲しすぎる。
この本を読んで気づいたのは、もっと広い世界を見てみたいと思った。いろんな事に興味を持って、とにかく行動すること。
やりたいなと思っているのに、自信がなくて挑めていないことをいつかじゃなくてすぐにやり遂げたい。
落語も聞いてみたい。
知らない世界へ踏み出すのはきっと怖いかもしれない。でも、踏み出した先に今よりもっと素敵な世界があるかもしれない。
それを私は知りたい。
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