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【Movie】彼らが本気で編むときは、
なんとなく、で見始めたら、あっという間に最後まで見ちゃうくらい集中してしまった映画。
2017年に見たときの一言感想では
母とはなにか。母の存在って、何をどうしても変え難い存在だからこそ、考えていかないといけないんだろうなーと思った。
って書いていた。
私はトランスジェンダーやLGBTに詳しくはない。
そんな人(私)が見たこの映画の感想は、
・生田斗真を選んだことで見えたもの。
・未知のものは、人にとって恐怖として映り、避ける言葉を無意識に投げてしまうときがある。結果、それが刃物になる。
・それぞれの母の形。そして子ども。
の3つかなぁ。
![](https://assets.st-note.com/img/1677596114338-PpaoCtyJGR.png?width=1200)
①生田斗真を選んだことで見えたもの。
主人公のリンコはトランスジェンダーで、生田斗真くんが演じている。
斗真くんって、このインタビュー記事でも言われているとおり
荻上監督は初対面のとき「意外と肩幅があって、思っていたよりゴツイ」と絶句したそうで、
と、確かに骨格とか手の大きさとか、めちゃくちゃ男性の感じがするんです。劇中でも「あなた、手が大きいわねぇ」と痴呆気味のおばあちゃんに言われて、寂しそうに笑ったりして。
でもそう言うところに私はリアルを感じたのです。
体と心の性別が違うっていう人は、その骨格の違いとうまく付き合っていかなくちゃいけないかもしれない。でもそれをまるっと受け止めてくれる、家族がいたりパートナーがいたり。そして本来の自分だったり。
ないものを見るんじゃなくて、一つずつ手に入れたものを愛おしく大事に「これが私なんだ」って思っている斗真くんが本当に綺麗だったんですよねぇ。
そして、時たま見せる男の子っぽいところも。
胸触ってみる?200CCずつ。ちょっと硬いんだって。
とか
なにその好み。絶対のんべぇになるね。
とか
ちょいちょいあっけらかんと言うところが好きだったな。
気を遣いすぎることで、相手がやりにくくなることってあったりするじゃないですか。前にテレビで「オカマで売っている、そこが売りだと思って生きているのに、変にLGBTで庇われてしまうと、自分の商売があがったりなところがある」っていう新宿二丁目のインタビューを見て、あぁなるほどなって思ったことがあるんですよね。
そういう、人が触れにくいところ。
今回でいえば、ともちゃんが触れにくいところを先に話に出してくれたりして距離を詰めようとするところが、リンコさんの強さだなぁって思ったのです。
しかし、途中から本当に距離の取り方が上手なリンコさんでねぇ。。。話しにくいなら、糸電話で話してみたり。それも自分の恥ずかしいことを先に言うことで和らげたり。
可愛くて可愛くて仕方がないって想いを口にしたり。
かと思えば、言いたくないことを責め立てるのではなく、聞いてあげたり自分の不満の解消方法を教えてあげたり。
とにかく、ともちゃんに対して「母性」は溢れ出ているんだけど、決して「所有物」だとは思わず「一人の人間」と思って接しているところが、私は美しいなぁって思ったのです。
あとは、個人的にパートナー:マキオas桐谷健太さんの存在ね。一目惚れしたからってんで、まるっと受け止めているところが素敵すぎた。。。
リンコさんが諦めていた夢を口にしたときにも「受け止めます、全部」って言ってくれて。こんな大きな器の人っている!?っていうくらい、リンコさんがいまの状態でいられるのって、マキオさんの存在があるからこそだよなぁってなるのです。
②未知のものは、人にとって恐怖として映り、避ける言葉を無意識に投げてしまうときがある。結果、それが刃物になる。
これはともちゃんの友達である、カイくんとお母さんの関係性から見えたもの。リンコさんのお母さんは、リンコさんのトランスジェンダーを受け入れ、「誰であっても娘を傷つける奴は許さないよ」って言えるほど、「私が守る」っていう愛情を持っていて。
一方、カイくんのお母さんは「自分の息子がそんなはずはない」と思っているんだと思う。それも悪気なく。LGBTを未知のものだから、無意識に遠ざけたくなって。ゆえに、ともちゃんの大事に思っているリンコさんを自分の感情から離そうとしたり、カイくんが大事だけど人と違っているってわかっているからこそ、誰にも見せたくなかった想いを破いて表面化してしまったり。
きっとそれは本人にとっての正義だったのだと思う。
だけど、時として正義は人を傷つけてしまう。
理解はできなくてもいい。
だけど、否定はしちゃいけないんだ。
誰にも否定をする権利なんてない。
そう思うと、少しずつ身体と心が違うと認識し始めて、結果自分の欲しいものはこの体ではなく女性の体であると口に出せたリンコさんは強いのかもしれない。
時として「口に出しては絶対にいけないこと」とカイくんのように思っている人もいるのかもしれない。
どっちがいいとか悪いとかはなくて、「ただそう思うんだ」と口に出せる人が増えるような、否定のない世界になっていくといいなぁと思う。
③それぞれの母の形。そして子ども。
これは、
ともちゃんーひろみママ(ネグレクト)
カイくんーなおみママ(理想の押し付け)
ひろみママーさゆりママ(愛情をちゃんと渡せなかった関係性)
っていうもの。
それぞれの母と子どもの関係性を見せつけられる映画だなと思った。だから、最初の感想なのである。
母とはなにか。母の存在って、何をどうしても変え難い存在だからこそ、考えていかないといけないんだろうなーと思った。
特にそれを思ったのは、ともちゃんーひろみママの関係性。
目先の幸せや心地よさを考えれば、ともちゃんは絶対にリンコさん&マキオペアの家庭に行った方がいいの。本人もそれをわかっているの。寂しいの。
だけど。
「絶対的」で「圧倒的」なものが、ひろみママの存在なの。
好きとか嫌いとか、考えること事態が無駄だっていうくらい、今の年齢のともちゃんにとってのひろみママは、「愛して欲しい存在」それだけ。
もしかしたら、年齢が上がればもう少し冷静に見えるかもしれない。それゆえに選択する道も変わってくるかもしれない。
だけど、あの時のともちゃんにとって。
自分の前からいなくなり。
ふらりと自分の前に帰ってきたひろみママに。
リンコさんのように、自分を見て欲しいともう一回望みをかけた。と、同時に自分もお母さんに伝えたいことをもっとちゃんと具体的に言わないといけない、できることをできるだけやってみる。諦めるのは、それから。って思ったのかもしれない。
私がいないと、この人は本当にだめになるって思ったのかもしれない。そしてそれは、リンコさんから教えてもらった愛情がゆえに結果なのかもしれない。
最後はともちゃんとリンコさん&マキオペアは、お別れをすることになったけれども、個人的にはパラレルワールドでいいから、ともちゃんが遊びに行ける、息を吐き出せる場所として2人はずっとそのままそこにいてほしいし、いずれ冷静になったときに2人のところ、または、2人とお母さんの間を行き来することを楽しくしている生き方をしていてほしい。そしてそれを許せる大人たちでいてほしい。
個人的にはこの生田斗真氏のインタビュー記事も好きなので、見てきて欲しいです(笑)
あとこの方の感想がわかりやすい&映画見なくてもあらすじわかる〜ってなるのでどうぞ😊
(あらすじ)
「かもめ食堂」の荻上直子監督が5年ぶりにメガホンをとり、トランスジェンダーのリンコと育児放棄された少女トモ、リンコの恋人でトモの叔父のマキオが織り成す奇妙な共同生活を描いた人間ドラマ。生田斗真がトランスジェンダーという難しい役どころに挑み、桐谷健太がその恋人役を演じる。11歳の女の子トモは、母親のヒロミと2人暮らし。ところがある日、ヒロミが育児放棄して家を出てしまう。ひとりぼっちになったトモが叔父マキオの家を訪ねると、マキオは美しい恋人リンコと暮らしていた。元男性であるリンコは、老人ホームで介護士として働いている。母親よりも自分に愛情を注いでくれるリンコに、戸惑いを隠しきれないトモだったが……。