和歌・秋にこんな思いをしているのはわたしだけだろうか
「わがためにくる秋にしもあらなくに
虫の音(ね)きけばまづぞかなしき」
古今和歌集・よみ人知らず
(わたしのためにやってくる秋ではないのに、虫の声を聞けばまっさきに悲しくなる)
秋にこんな思いをしているのは、
わたしだけのように思える。
秋の虫たちの声と、
わたしの悲しい心はまるで響き合っているようだ。
ますますやるせない。
秋は感傷的になる季節。
秋にする物思いをあらわした「秋思(しゅうし)」という大和言葉もあるくらい。
この歌を詠んだひとは、
一体何を物思いしていたのだろうか。
理由もなく
ただ物哀しくて仕方がなくなったのかもしれない。
すべては秋のせいだ。