和歌・こんな恋をするとわかっていたなら
「吾妹子に恋ひつつあらずは
秋萩の咲きて散りぬる花にあらましを」
万葉集巻2・120 弓削皇子
(こんな恋をするとわかっていたならば、愛しいあなたに恋をすることなく、秋萩のように咲いたら散る花でありたかった。)
この恋は、実りのないもの。
決して成就することのない、儚い夢。
刹那の恋は
夢のまま
美しいまま
終わりにしたかった。
叶わぬ想いを抱いたまま、
どうしようもなく
朽ちて
枯れてゆくだけのわたしだよ。
こんなことならば
後腐れなく
なんの未練もなく、
恋心を美しい花に変えて
散らせてしまいたかった。
そしてそのまま、
消えてしまえたらよかったのに…。