如月の探知法
まず初めに如月の名を持つ者へ。
この書は知る能力を開花した者の為にその扱いを記したものである。
私はこの能力を探知法と呼んでいる。
この探知法は「知る」という言葉が付いていることならば何でも出来るという特徴がある。
次に能力の発動する条件は意識を集中させることである。
そしてこの探知法は発動の様式が個人によって異なる。
手の平に意識をすることで発動する者。
空間を意識することで発動する者。
他にも感情・存在など多岐にわたる。
起源は私も詳しくは記すことができないが全知全能の神に近づいた人間・・・その者が関係していると考えている。
この能力を詳しく理解してもらう為に私が能力で出来ることを可能な限り記す。
まず私は触れたものと接しているものの位置が分かる。
これは落し物を探す際によく使う。
次に私は意識を向けた方角にいる人々の数や性別などが分かる。
特に近くにいる者の場合はその者が顔見知りで有るのかまで分かる。
なので私は会いたい者がどこにいるのか分からないといった理由で困ったことはない。
最後に私は相手の精神の状態がまるで狐にでも取り憑かれるかのように入ってくる。
そのような体質からか私は人の悪意や善意の違いというものをはっきりと区別することができる。
これはとても辛いことであるが悪意のある者に騙されないというのはどこか心穏やかなものがある。
ここまで記してきたがこの能力についての注意点を記しておく。
無闇に使用しないこと。
素晴らしい能力であるが故にその能力の愚かさも同じく知ることになるからである。
著者 如月水天