恩田陸「夏の名残りの薔薇」
かなり不思議な感じのミステリー
小説を読んでるというより 舞台を観ているような感覚
山奥のホテルに招待された客 招待したのは不穏な過去をもつ三姉妹
三姉妹の芝居めいた会話を中心に 毎晩豪華なパーティーが開かれるが
そのホテルでいくつかの変死事件が起こる
語り手を変えながら 同じ出来事が 変奏曲のように繰り返される
何が本当に起きたことで 誰が本当のことを言っているのか
読み進めながら 頭が混乱してきて
最後は 全く予想外の結末
のっけから 姉弟の近親相姦だし
三姉妹の一族の過去が明らかになるにつれ ドロドロしてくるし
かなり 濃いお話
人は誰でも自分の虚像を日々作り続けている。自分だと思っている像、自分だと思ってもらいたい像を。
理解しなくても好きになることはできる
巻末の恩田陸スペシャル・インタビューがよかった
恩田さんは あまり本の中のキャラクターには興味がなく 登場人物AとBがいるとしたら AとBそのものはどうでも良くてその間にある関係性が大事だそうで
確かにそういう作品が多いなと 妙に納得
(2008.03.24)
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