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続 Nex Tech Week 2024 【秋】
昨日ご報告したイベントについて、さらに書くことにします。今日は、昨日までとはうって変わって晩秋の良いお天気で、『氷雨(?)』のような2日間は何だったの?と思ってしまいます。今日は参加しませんが、最終日の大盛況を祈ってます。
さて標記のイベントは、AI、DX人材、ブロックチェーン、量子コンピュータという4つの "EXPO"から構成されるものでしたが、昨日のご報告の通り、圧倒的にAIとDX人材関連の出展ブースが占拠するような状況で、量子コンピュータについては少々寂しい扱いを受けている気がしました。講演のラインナップや内容、受講者の数なども併せて考えると、その状況は、市場におけるニーズや人々の関心、そして政策上のプライオリティーを反映したものだということが理解できます。石破政権がAIと半導体関連への支援策を打ち出すのもそういった流れの一環なのでしょう。
私は、宇宙に出ていくためのサイエンスやテクノロジーと同じくらい、地球に関するサイエンスやテクノロジーの重要性について語りたいです。
日本は地震大国であり、異常気象の被害ももはや「異常」なことが「恒常」なくらい毎年のように被っています。これらに対して、「備える」ことはもちろん大切なことですが、もっと積極的なアプローチを採るべきではないかと考えています。南海トラフ地震が30年以内に起こるといわれて既に何年も過ぎていますが、被災予測地域の人々の生命、財産を守ることは現状、極めて難しいのではないかと思います。はっきり言って、このままの状況を続けることは、被災予測地域の人々を見捨てているというのと同然だと思うのです。
私が量子コンピュータに期待していることはいくつもありますが、urgentな問題として、精度の高いモデルを用いて膨大な観測データを実時間で処理し、気象予報や地震予知を確実に行うために必要不可欠なものだと考えています。
そのためには、Earth Scienceに対して精力的に取り組む人が増えるような施策が必要です。高校の理科4科目(物理、化学、生物、地学)のうち、地学の選択者の割合は非常に小さいものとなっています。これは、指導者が不足していることも一因でしょうが、Earth Scienceの面白さと重要性を早い段階から伝える上でなんとかしなければならないでしょう。まずは、「地学」選択者が不利益を被らないような大学入試のあり方から考えなければならないでしょう。実際、地学で受験できる大学の数はかなり限られています。そして、優秀な頭脳がEarth Scienceにより多く貢献してくれるような環境作りも重要でしょう。
現在では、コンピュータサイエンスを専攻する学生が増えていますが、Earth Scienceを学ぼうという学生が増えることを願います。本来ならば、分かりやすいので高校の理科の4科目でいいますが、物理、化学、生物、地学にバランスよく履修生が増えるような施策に期待します。年明けの共通テストから追加される『情報Ⅰ』を課すことに関しての賛否が議論されているようですが、「情報Ⅰ」を入れることより「地学」について真剣に検討すべきではないでしょうか。
量子コンピュータの話からとんだところへ話が進んでしまいましたが、私はとにかく量子コンピューティングに期待しています。昨日幕張メッセを明るい気持ちで後にできたのは、昨日の最後の講演を拝聴したからです。
大阪大学の北川教授が、この前のNex Tech Week 【春】で講演された内容について『アップデート』という言葉を使われて、最新の研究動向をお話されたのち、分子科学研究所の大森教授、理化学研究所の樽茶博士、NECの山本博士という日本の量子コンピュータの先駆者の方々が、それぞれのご研究について進んでいる点や課題、今後の見通しなどを発表された後、パネルディスカッションをされるという実にexcitingな90分でした。詳しい内容については、十分復習し内容を精査して後日上げられたら上げたいと思っています。
ただ言えるのは、8月にGoogleが、Quantum error correction below the surface code thresholdという論文を出すなど、この半年弱でも大きな進歩があったということと、日本はポテンシャルがあるにもかかわらず政府や大企業(富士通とNECはやっているようです)が・・・という苦言を呈される場面もあったということです。まさに仰る通りだと思いました。
一応申し上げておきますが、まったく何もやっていないかというと少なくともアカデミックな部門では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)を通して『ムーンショット型研究開発事業』として【2050年(中には2040年のものもあります)までに~】という10の目標を掲げた研究開発支援が行われており、量子コンピューティングについてはその6番目に位置づけられています。
https://note-moonshot.jst.go.jp/