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世界の角度が変わるとき『ぜんぶ運命だったんかい おじさん社会と女子の一生』(笛美)を読んで

ずっと気になって気になって気になっていた本。
読みたい読みたいとTwitterで呟いたら、お仲間さんがそっと貸してくれたのです・・・! ありがたやありがたや。

早速読み始めるも、半分くらい読むのにかなり時間がかかってしまい。
笛美さんの辿ってきた社会人の道のりを思うと、胸が痛んでページが捲れなくなる瞬間が訪れて手が止まってしまったのです。何度も。何度も。

でも、途中からはもう。一気。
笛美さんがフェミニストを知ってからの後半はもう怒涛で、とにかく読み切らねば他の何事もできない!という気持ちで。スーパーへ買い出しに行く予定だった時間を使い切って読了。

そして読み終わった後。
私も何かがしたい!と窓を開けて大声で叫びたい気持ちが爆発すると共に。
自分のこれまでの人生がぶわーーーーーっとフラッシュバック。

小学校から大学までずっと女子校。
小学校から制服で電車登校。
幼稚園の頃、男の子からいじめられていた所為で男子が苦手でよく泣いていた。その状態で女子校に入ってしまったから、男子=怖いの思いは加速する一方。
自分に自信がなくて、自分のことは可愛い容姿でないからと女性としての自信はなく。
そんな自分でも、満員電車で痴漢にあったことは何回もあり。
地下鉄の階段で背後から胸を掴まれたこともある。

就職活動では母親から「地元の企業で」「転勤がない会社で」「安定した事務職になって」等々の声を浴びながら過ごす毎日。
地元が遠方の恋人ができると、あからさまに嫌な顔をされ。

入社後は会社の飲み会でお酌するのが当たり前。
毎朝、男性社員が前日使った灰皿を片付けて綺麗に洗うところから業務が始まり。
外回りの営業職に配属されてからは、営業先で「今日何時に仕事終わるの?」「休みの日何してるの?」「飲みに行こうよ。数字欲しいでしょ?」と言われたことが何度もある。

だけど。
それらを「仕方ないこと」と受け止めて長い間過ごしてきた。
なんなら、ある程度「当たり前のこと」だと思ってた。恐ろしいことに。疑問に思うことなく。そういうものだと、うまく受け流せない自分がスキル不足なのだと。
そんな風に思い続けて。
私も笛美さんと同じように、染みついた女性蔑視の感覚を拭い去れないひとりだったんだ。この本を読んだことで、過去の自分がいかに固定観念の中で生きていたのかを改めて気づくこととなった。

いまだに会社の中では「事務の女の子に聞いて」と仕事を振ってくる管理職の男性。
電話に出れば「男の人と代わって」と用件も教えてくれない取引先。
私が勤務している企業はそれなりの大手で、グループ会社の名前を出せばかなりの人数が知っているであろう会社なのに。女性活躍推進を高らかに謳っているのに。実態はこんなもの。
管理職になれる女性はいまだにほんの一握り。子供を産めば営業職は続けられず、時短勤務制度はあれど給料はものすごく少なくなる。出世コースからも外れて独身の人がどんどん昇格していく。

これはぜんぶ運命だったのかな?

でも、だとしたら、今こうして過去の自分を振り返ることができたのも運命なのかも。
見えると気づくは、全然違うんですよね? 笛美さん。
私の世界の見え方は、これまでより少し角度が変わったみたい。

私は幸運なことに、入社早々に心から好きな人と出会うことができて。結婚、出産を経ても仕事を続けている。
だけど、私より5年くらい入社が早かった先輩たちは「結婚するなら辞めるよね?」と当たり前のように言われて会社を去っていった。
他の会社はどうなんだろう。今でもそんな会社がたくさんあるのかな。
飲み会で辛い思い出お酌したりしているのかな。
私が新人の時みたいに、会社終わりを取引先の人に待ち伏せされたりしているのかな。
あの頃は気づいてなかった。
だけど、今ははっきり言える。
それはおかしいことだったんだと。

自分の子供たちに、このままの社会を受け継がせたくない。
その思いが今は一番強い。

ところで私は現代アートが好きなお陰で、数年前からジェンダー問題やフェミニズムに触れる機会が少しずつ増えている。
昨年は年始に「The  Clothesline」の展示に触れ。
年末には「ケルベロス・セオリー」の展示に触れられた。
同じことを考えて行動している人達がいる。それってすごく心強いことだ。
現代アート、ありがとう。
自分の頭でもっともっと思考して、思いを発信していきたい。生きやすい社会が何かを考え続けていきたい。
できる限りボランティア活動もやっていきたい。

今年こそフラワーデモに参加がしたい。
もっと政治に詳しくなりたい。
正しい情報をきちんと見極めたい。
津田大介さんの「ポリタスTV」をもっと視聴して応援を続けたい。
なるべく新聞を読みたい。
本もたくさん読みたい。
文章をたくさん書きたい。
自分から出てきた女性蔑視の発言に気づいたら、きちんと訂正したい。
身近な人のセクハラやパワハラをそっとたしなめたい。
会社の後輩たちが笑顔で働けるようにしたい。
子供たちが自由な生き方ができるように行動したい。

とにかく、この世の全ての人が、笑って暮らせる社会がいい。
そのためにできること何かな?
まずは小さいことからだけど。
続けることが大きな力になると信じて。

おこがましいかもしれないけど、私も笛美さんと一緒に歩けるような気持ちでいたい。

この本に出会えたことに感謝して、毎日こつこつ無理ない範囲で。疲れた日はポテチ食べてお酒飲んで寝たりもしながら。これから生きていこうと思う。

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