巻2巻頭歌:『淋しさ色に染まる空』
君が行き
日長くなりぬ
山尋ね
迎へに行かむ
待ちにか待たむ
「万葉集」巻②・85
磐姫皇后
『淋しさ色に染まる空』
月が冴える あの夜に
貴方がおいでになってから
もう、随分と日が経ちました
ふたりを隔てる山道を越えて
貴方が住まう屋敷へと
そのまま迎えに行きましょか
それともこのまま待ちましょか…
逢いたい気持ちが募りに募り
眼に映った空さえも
淋しさ色に染まります
《巻2概要》
「相聞(そうもん)」と「挽歌(ばんか)」という部で構成。
「相聞」とは、お互いの消息確認の意だったが、後に恋歌という意味合いで使われることが多くなった。
「挽歌」死者に対して悲しんだり、鎮魂のために詠まれた歌。
「雑歌」「相聞」「挽歌」の3つを万葉集の世界では三大部立と呼んでいる。