高橋琴麻呂
青をテーマに詩や、青を表現した詩をまとめて置いています。
藍の景色 藍の花 藍の涙… 藍の風の中で 藍に色付く 愛の言葉を 紡いでみれば 青より深く 心が染まりゆく
胸の奥に寂しさを 抱えた時に いつも聴きたくなる あなたの その声 丸みを帯びて 心を優しく包み込み 聴く度に癒される 青色の声 悲しい朝も 切ない夜も あなたが発せられる 青い響きを耳にしたなら 私は この世に降りてくる前に 入っていたのと同じ 安らぎのカプセルの中に いるような気持になる
風さえ灼(や)けつく 夏の昼下がり 「氷」の文字が染め抜かれた 旗がはためく駄菓子屋で 透明なガラスの器に盛られた ふわふわの雲のような 氷の上から 空色のシロップを たっぷりかけてもらう それは、 早朝の通り雨の後、 洗われた空気の中で見た 胸のすくような 夏の ほの甘いときめきと 爽やかな記憶が添えられた 未来まで抱えてゆきたい 特別な青だった
夢のつづきは 明日の夜にまわして そっと眼を開けて 今日という一日を 開封してみれば 眼の前の海の青が 心にもたゆたい始める もぎたての空気が 少しずつ少しずつ 景色の温度に馴染むころ 私の身体に取り込まれた青も 昨日との継ぎ目が消えて 少しずつ少しずつ 落ち着いてゆく
青い夜空に 青い月と 青い雲 夜の青は なぜに こんなにも 人恋しさを 呼び起こすのだろう いつもより ほんの少しだけ メルヘンチックな景色の中で あの人と織り上げる 愛の鼓動の高鳴りを想像して 眠れなくなってしまう 今夜…
鮮やかな青の花咲かす 小さな露草が風に揺れ 震えるように 静かに落ちる雫 それが 私を潤す一滴にもなると 初めて気付いた あなたと並んで歩く 午前の青い空の下
朝凪の海 どこまでもどこまでも 深い青 見た事はないけれど 私たちが住む この星も こんな色だという… きっと、 この星の住人になる前から 知っている色 だからこそ 目にした時、 寄り添った時に 安らぐ事ができるのだろう 大いなる海に抱(いだ)かれながら 心穏やかになる サイレントブルー
夜から朝へと変わる頃 この森は 鮮やかな瑠璃色に輝く 淡い霧のカーテンを そっとめくって眺めた 群青の空には 妖精たちの忘れ物のように 消え残る星… 深い深い瑠璃の森で 心の中に 深い深い色味を沁み込ませ 深い深い時を行く
砂浜で 見上げた空の 遠くの薄い青 近くの濃い青 見渡した海の 波打ち際の浅い青 沖の方の深い青 薄く濃く… 浅く深く… そんな 立体的で多面的な いろいろな青に包まれながら 私は 命を染めている
ラムネ色の空に ミントの風が吹くから 言葉を ターコイズブルーの 海に渡らせてみたら 麦わら帽子越しに 私たちの夏が始まる
この空に満ちる 深い深い青色は 誰かの夢を動かしたり 誰かの恋の背中を押したり 誰かの心の救いになっている そして、僕らは この青空の効力を 誰かと共有することで 知らず知らずのうちに 未来への 推進力を高め合っている 揺らぐことなき 宇宙の法則の中で…
あまりにも空が 青く澄んでいたから 同じ色の浴衣に 袖を通してみた きめ細かな肌触りは 午後の涼やかな風を呼ぶ 毎年、同じ時期に 同じ場所にやって来る 風鈴売りの屋台 優しきひとすじの風が 吹き抜ける時 小さな短冊を付けた びいどろの風鈴たちが いっせいに 鳴った
蒼い蒼い空の色が ビルのガラス窓に映り込んで 景色の中に溶けてゆくのを 歩道橋から眺めてる あの日、この街で 夢の決意を告げて 遠い所へと旅立った貴方… あれからずいぶんと 時は流れたけれど 貴方の事を 時々思い出しながら 変わらずに この街で生きている あの頃の私以上に 味方になってくれる人は 傍にいますか? と、貴方に問いかけながら 今、心の紙飛行機を 蒼い景色の中に吹く 風に乗せてみた
紺碧の空と 積乱雲の下 いつも以上に 君を引き立てる 水色浴衣 白抜き模様 そして、 右手には ラムネの瓶 左手には ふわふわ綿菓子 この恋の書き出しは 君を取り巻く 青と白が織り成す 美しき夏の風景
夏の青空の下 砂の地面に置かれた 七色のビー玉を 指で弾いた時に ふと、爪に残る痛み 記憶が甦る時 一緒に思い出す あの軽い痛みは いつまで どこまで 私の中を 取り巻くのだろう 心の周りを 規則正しく公転する 衛星のような 小さな証として… #言の葉の琴糸 #詩
心に絆創膏を貼ったところで 未だに傷口から 滲み出てくる想いがある うまくいっているなんて 思っていたから 不意に転んだ時に うまく受身の体勢を 取ることができなかったんだ… この傷と痛みが 治りきるまでには しばらく時間がかかりそう #言の葉の琴糸 #詩