巻17巻頭歌:『松原にて』
我が背子を
我が松原よ
見渡せば
海人娘子ども
玉藻刈る見ゆ
「万葉集」巻⑰・3890
三野石守
『松原にて』
私の愛しい人を
私が待つ
松原から見渡せば
さんさんと降り注ぐ
陽光の下
この海で
海女を生業とする乙女たちが
珠もように美しい
海藻を刈っている様子が見えている
愛しい人さえ
景色の一部にしてしまう
美しい景色が
この松原にはあった
《巻17概要》
巻1~16が「万葉集第1部」とすると、この巻17以降の4巻は、
「万葉集第2部」とも呼ばれ、前の16巻とは明らかに違いがある。
巻17~20は大伴家持の歌日誌的なものとされ、部立がない。
17~19の大部分は、大伴家持が国守(今で言う県知事)として越中国(今の富山県)に赴任していた時の家持と、その周辺の人々が詠んだ歌で占められている。