み空行く 月の光に ただ一目 相見し人の 夢にし見ゆる
(「万葉集」巻④・710 安都扉娘子)
『月下酔夢譚』
清らかな空を渡りゆく
月の光のその下で
ただ一度…
ただ一目だけお逢いした
あの人
凛々しいお姿が
輪郭もそのままに
ゆうべの夢に見えました
優しい言葉に包まれながら
心と身体は
一気に手繰り寄せられて
気付けばその腕の中…
夢の中で
そよいでいた恋風が
今夜も心に吹き寄せて
思わず
あの日 お逢いした
草原まで来てしまいました
夢の酔いが醒めないうちに
またお逢いしたいです
そしてゆうべの話の続きを
うつつの世でも
紡ぎ続けてみたいのです
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