我が園に
梅の花散る
ひさかたの
天より雪の
流れ来るかも
(「万葉集」巻⑤・822)
大伴旅人
『季節の絵筆』
冬晴れの空の下
この庭に
ひとりたたずんだ
おりからの風…
梅の花びらたちが
一斉に散ってゆく
まるで、それは
天空から風に乗り
流れ来る沫雪のよう…
冬と春の境めあたりで
神様が
季節の絵筆を使って
私の心に
雪に似た梅の花で
白い川を描いていった
お酒で火照った身体には
ちょうどいい
冷たい風の中
心に川を携えて
もう一度
天を仰ぎ見た
季節の絵筆の
穂先を追うように…
【メモ】
「令和」の出典元となった、大宰府で行われた梅花の宴で、大伴旅人が詠んだ歌です。
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