冬ごもり 春さり来れば 朝には 白露置き
夕には 霞たなびく 風の吹く 木沫が下に うぐいす鳴くも
「万葉集」巻⑬・3221
『春風の吹く時』
冬が季節の裏側に隠れ
春がやって来た
この時
朝は草木に
珠のような白露が置かれ
夕方には
霞が棚引いている
そして
春風の吹く
梢の下では鶯が
綺麗な声で鳴いている
《巻13概要》
「雑歌」「相聞」「問答」「比喩歌」から成る巻。
主に長歌(五七、五七…と続き、最後に七七で終わる形式)
の後に反歌と呼ばれる短歌が添えられているのが特徴。
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