万葉集翻案詩:『恋慕の鎖』

我妹子が 家の垣内の さ百合花 ゆりと言へるは いなと言ふに似る
(「万葉集」巻⑧・1503 紀豊河)


「恋慕の鎖」

君の家の庭に咲いている
綺麗で可憐な百合の花

今度、逢わないかと
誘ってみても
君は庭に咲く百合のように
ゆりで…
すなわち、後で…といつも言う

本当は
僕に逢う気がないんじゃないか?

後で…と言い続けるのは
嫌…と言うのに似ているよ

その場をうまく切り抜けるだけの
そんな言葉に思えてくる

はっきり言ってくれると
あきらめもつくけれど
曖昧な返事は
時として
心の中に息づく恋慕の鎖を
さらに強くさせるんだよ

後で…というのは本心なのかい?

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