万葉集翻案詩:『風流』

酒坏に
梅の花
浮かべ思ふどち
飲みての後は
散りぬともよし
(「万葉集」巻⑧・1656)
大伴坂上郎女


 
『風流』
 
青い空と
梅の木の下で
気の合う者同士が集まって
楽しくお酒を飲む宴
 
濁り酒の上に
梅の花をひとひら浮かべ
ほんの少し
風流を気取る
 
いつもより
おしゃれな飲み方が
いつもの風景を
より美しく変えてゆく
 
ここに集う仲間と
お酒と共に
風流を分け合った後は
梅の花は
散ってもかまわない
 
みんなの心には
空の色と共に
今日の宴の
酒坏に浮かべられた
花の色が焼き付けられたから


【メモ】
大宰府で行われた梅花の宴に大伴坂上郎女が後に追和した歌です。


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