映画:yesterday
10代に聞きまくっていた The Beatls。
私の人生初めてのCDはお誕生日に買ってもらった White Album でした。
ちょっとコメディタッチだし、
正直なところ物語にはあまり期待してなかったのですが、
ビートルズの曲がたくさん流れるんだろうな、
映画館で聞くのはいいだろうな、
という気持ちで見に行きました。
良い意味で裏切られて、特に後半の展開に感動しました。
涙出そうになりましたよ・・・
ある日、The Beatles が存在しない世界に生きることになった主人公。
売れないシンガーソングライターという設定で、
記憶の中の名曲の数々を歌って売れちゃうわけです。
ここまでは予告編を見てわかるようになっています。
最初は小さな店の生演奏で The Beatles の名曲を歌っても誰も感動しない。
自分が歌ってもダメなんだ・・・と落ち込みますが、少しずつ見出されて
大きな舞台へつながっていきます。ここで本人出演のエド・シーラン。
私はエド・シーランを知らずに見にいきましたが、なんか感じのいい人でした。
歌手としてすごい人なんですね(本当に知らなかったんです・・・)。
前座がやめてしまったから主人公に前座をやってほしい、と急遽オファー。
ライブはモスクワ。主人公は現地までのプラベートジェットの中で
Back in the USSR を書き起こして前座で演奏します。これが盛り上がること!
シーランは行きの飛行機の中で書いたという曲の出来の良さに驚きます。
ま、当たり前ですよね。作ったんじゃなくて思い出したんですから・・・
それはシーランにはわからないこと。そして、ライブの打ち上げで、
10分で曲を作る対決をしよう、ともちかけます。
ここで主人公が演奏した曲はThe Long And Winding Road。
完敗した・・・と落ち込んだシーランは部屋に帰ってしまいます。
そうやって世界的スターの階段を登っていくことになってしまった主人公は
いろいろなことが思うようにいかなくなってきます。
行動の自由は完全に奪われてしまって、スケジュールに追い詰められる。
売れない時代にずっとマネージャーをしてくれていた幼馴染に別れを告げられ、
どうにもならない気持ちを故郷でのライブでぶつける曲が Help! なんですよ。
なんというか、曲の使い方がうまい!どのシーンにもぴったりの曲がある!
ということに感動しました。Help! は当時激しい人気に疲弊していた
The Beatles メンバーが助けを求めるような気持ちで書いたことが知られてます。
この場面にぴったり!
そんな風に状況や場面にぴったりの曲が流れながら後半へ進みます。
きっと主人公は自分じゃない人の曲で天才と言われることに
後ろめたくなってくるのだろうな、というのは想像通りでした。
さて、どうやってこの物語を終わらせるのだろう・・・と思っていたら。
この The Beatles が存在しない世界、という設定がステキな展開を見せます。
これから見る人は結末を知らないまま見てほしいので
ネタバレは少し改行しておきます。
ここから下はネタバレです。
The Beatles が存在しない世界の設定は、
実は The Beatles が誕生しなかっただけの世界でした。
つまり The Beatles のメンバーたちは
The Beatles にならなかった状態で存在していたんです。
この設定がステキな結末を作っていました。
そんな世界で主人公が
The Beatles の記憶を維持したまま生きている理由は
交通事故に遭ったから、という風に描かれていましたが、
後半で2人、The Beatles を覚えている人が出てきます。
後ろめたい気持ちに支配されつつあった主人公は、
とうとう自分の曲が本当は The Beatles の曲であることがバレて
怒られるのだろうと思いつつその2人に会うと、なんと、感謝されます。
The Beatles の名曲をこの世界に取り戻してくれてありがとう、と。
その2人は普通の人だから、The Beatles をたくさん聞いて
とても好きだったけど、歌詞は思い出せないし、ましてや演奏もできない。
主人公は売れないながらもシンガーソングライターで、
必死で歌詞を思い出して演奏して
かなり The Beatles の原曲に近いものを世に出していたわけで、
そのことに感謝するんです。この温かい展開にも感動しました。
そうだよね、そういう気持ちになるよね、と心から共感。
そして、この2人が
The Beatles のメンバーについて調べていたのです。
後ろめたい気持ちになってる主人公に、
救いになるかもしれない、と
The Beatles にならなかった人生を歩んでいる
メンバーの1人の住所を手渡すんです。
もちろん、あの人です。
The Beatles でなければ
若くして殺されることはなかったであろう John Lennon。
主人公は John Lennon に会いに行くんです・・・(涙
John Lennon が殺されて
少し経ってから The Beatles ファンになり、
John Lennon ファンになった私としては
John に会うシーンにめっちゃ感動しました。
イギリスの田舎で、
海辺の家で絵を描きながら穏やかな老後を過ごす John。
ほんの少しの会話なんですが、
John Lennon という人を描こうとしていました。
この映画を作った人がどれほど The Beatles を愛し、
John Lennon の死を惜しんでいるか、伝わってくるシーンでした。
正確なセリフは忘れましたが、
John に思うように行動するよう言われた主人公は
ウェンブリーでのエド・シーランのライブで時間をもらい、
これまでの曲は自分の曲ではないから、それで儲けたくない、
全部無料配信する、と宣言して天才歌手の座を降りるのでした。
そしてずっと好きだった幼馴染と結婚して、
Ob-La-Di, Ob-La-Da の歌のように幸せな日常が映し出されるという・・・
作中の曲はすべて主人公役の俳優が実際に歌っている音を
そのまま使っているとか。
とてもうまくて、ライブでの歌唱とか、めっちゃいいんですよ。
でも、エンドロールで The Beatles の Hey Jude が流れたら、
また涙が出そうになりました。
というわけで、こんなに感動するとは思ってなかった、
というくらい感激して、笑顔で映画館を出てきました。
すごくよかったです。オススメでっす!
とても励みになります。