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2025明治安田J1リーグ第2節セレッソ大阪対湘南ベルマーレの個人的な見どころを紹介
いよいよ今季も開幕したJリーグ。開幕節における最多入場者数を更新(2017年の340,816人だった過去最多から今年は合計で360,186人と更新)
現行の開催では最後となる今季。栄冠はどのチームに輝くのでしょうか?
さて、開幕節セレッソ大阪はガンバ大阪との大阪ダービーを5-2の勝利で飾った
アーサー パパス監督の初陣は自信と信頼を勝ち取る勝利となった。北野、香川、田中、中島と長くセレッソ大阪を愛してきた選手や、覚悟を持って加入した選手の得点は胸を打つ部分もあったかもしれない
一方湘南ベルマーレはホームで鬼木監督が率いる鹿島と対戦。湘南らしいアグレッシブなサッカーを見せながら最後は1-0で勝利を飾った
昨季も特に中盤以降で見せてきた湘南の良さが随所に出ており、これまでの積み上げが少しずつ実を結ぶ未来が垣間見えた勝利だった
新たな方向に舵を切るセレッソ大阪か?それとも積み上げと進化で躍進を狙う湘南か。開幕戦共に勝利で飾った両チームの一戦。楽しみです
(J1リーグ 解説:木場昌雄さん リポーター:竹島麻里子さん 実況:能政夕介)※追記、修正の可能性あります
昨季の順位と前節の振り返り(2025/2/17時点)(リーグ戦のみ)
セレッソ大阪:13勝13分12敗 勝ち点52の10位 43得点 48失点(-5)
昨季はシーズンスタートから8試合負けなしで一時首位にも立ったセレッソ大阪。ただ、6試合・8試合勝利なしという苦しい時期も経験した
優勝を目指したクラブ創設30周年のシーズンは様々な感情が入り混じるシーズンとなった
キャプテンを務めた山下が引退。清武の移籍と長くチームを支えた選手に加え、昨季21得点のレオセアラは鹿島へ、主力だった為田は磐田、カピシャーバは清水、鳥海は千葉へ移籍した
新たな監督として2019年横浜FMのリーグ制覇にコーチとして貢献したアーサー・パパス氏を招聘。松本、大迫、中島が期限付き移籍から帰還し
ユース出身の上林、DF陣は横浜FMから畠中、横浜FCから中村を獲得
前線にはラファエル・ハットン、チアゴ・アンドラーデを獲得した
期待と不安の両面が入り混じる中で、迎えた開幕戦は大阪ダービーという痺れるスタートとなった。そして、結果はセレッソ大阪にとって自信を手にする結果となった
開幕スタメンは前線に新加入のラファエル・ハットンを配置
鳥海がプレーしていたCBには畠中が起用され、進藤とのコンビ
ボランチにキャプテンの田中、昨季は怪我で苦しんだ香川も起用
阪田は3季目にして開幕スタメンを勝ち取り、北野、ルーカスフェルナンデスと2列目に起用された
セレッソ大阪はアグレッシブなプレスにくるガンバ大阪をいなしながら、勇気を持ってボールを繋ぎ、上手くボールを前線に供給。両SBも攻撃参加に寄与しながら、前半7分に北野がいきなりゴールを奪う
その後も阪田がサイドからチャンスを伺い決定機をつくりだす
もちろんガンバも鋭いカウンターからゴールに迫り、同点に追いつき前半は1-1で折り返す
ただ、後半に入ってもセレッソ大阪のペースは落ちず、ルーカスフェルナンデスのクロスからこぼれ球を開始1分で北野がゴールに流し込み勝ち越し
その後も、前半同様の崩しから香川が得点を決めて3-1に
ガンバも攻勢を強め、黒川の素晴らしいシュートで1点差に迫るも
この日2ゴールの北野が、今度はFKから田中の2年連続開幕ゴールをおぜん立てして4-2
終了間際には仙台から復帰し、今季13番を背負う中島が追加点を決めて5-2と大勝した
サポーターの不安を一蹴するダービーでの勝利で、自信を深めたセレッソ大阪は、週末ホーム開幕戦を迎える
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湘南ベルマーレ:12勝9分17敗 勝ち点45の15位 53得点 58失点(-5)
昨季は序盤に9試合勝利なしと苦しい時期を過ごした湘南は、我慢強く、粘り強く戦う事で中盤以降に大きく花開いた
ハードワークして、球際に強い湘南のスタイルを土台として、そこから山口智体制でボールも動かしながらチャレンジを行い、リーグ後半戦は3連勝、4連勝と勝ち点を積み上げた
残留争いも熾烈になる昨今のJ1リーグで、降格する事なく今季5季目を迎える山口智監督は、これまでの積み上げと、昨季の中盤以降に手にした自信を携えて今季の戦いに臨む
昨季からの移籍で見ると、GKのソン・ボムグンと岡本は海外へ。経験豊富な阿部は引退。山田は岐阜、田中聡は広島へ移籍となった
それでも昨季中盤以降覚醒を見せた鈴木章斗、福田翔は残留
2桁得点を記録した2人加えチーム得点王だったルキアンも残留を果たした
補強はユースの昇格、高卒、大卒の選手5人を含めて8名
鹿島から藤井智也、川崎からゼ・ヒカルド、FC大阪から永井と、主力の残留が多かっただけに最小限に留めた印象だ
その積み上げを見せたい湘南は、鬼木監督率いる鹿島をホームに迎えた一戦で随所にらしさを見せた
ポジションの部分で見れば、昨季からの変化は
鈴木雄斗が3CBの右でプレー、田中聡がプレーしていたアンカーには奥野が入り、TOP下は平岡と小野瀬、前線は若き鈴木章斗と福田がコンビを組んだ
昨季鈴木雄斗の主戦場だった右のWBには新加入の藤井が入った
湘南は豊富な運動量でチャンスをつくる場面を序盤からつくった
とりわけ畑と平岡と在籍5年以上の2人がポジションを上手くカバーしながら起点となった
鹿島の鋭い攻撃についても、経験のある上福元が冷静に対応
ハイラインの裏を取られる場面もあったが、広範囲でカバーを見せた
また、田中聡とはタイプは異なるものの、奥野は随所に安定したボール運びを見せて攻撃を散らし、両サイド、そして中央を含めて攻撃の形をつくっていった。お互いにチャンスはつくるものの、決定機の数では上回った湘南だったが得点は奪えずスコアレスで前半を終えた
後半に入り鹿島にセットプレーを与える場面はあったが、湘南もカウンターからゴールに迫るなど一進一退の攻防を見せる
前半から何度もゴールに迫っていた湘南は、中央でボールを受けた福田が、素晴らしい突破からゴールをこじ開けて待望の先制点を奪い1-0に
その後も鬼木監督はすぐさま交代策で状況の打開を図ったが、湘南も集中力を見せ、1-0でホーム開幕戦勝利を飾った
昨季の積み上げがシーズン序盤から見えた自信深まる1勝になった
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昨季最終順位はセレッソ大阪が10位、湘南が15位と2桁順位でシーズンを終えた。その中で、開幕戦は昨季4位のガンバ、5位の鹿島に両チーム勝利を飾った事は、チームの方向性を自信づける勝利となったはず
開幕から連勝となれば、セレッソ大阪は2020年以来5年ぶり
湘南は2014年のJ2で開幕から14連勝を記録、J1では1998年以来27年ぶりとなる(もし違ったら教えてください・・)
勝利で勢いに乗る両チームの戦いに注目です
過去の対戦戦績(リーグ戦のみ)
過去のリーグ戦での対戦では、セレッソ大阪が24勝、湘南が20勝、引き分けが6度となっており、比較的引き分けが少ない対戦カードになっている
昨季の2024年ではセレッソ大阪がホーム、アウェイ共に勝利を飾っている
2024.03.30:セレッソ大阪(H)2-0(得点者:舩木・北野)
2024.09.22:湘南ベルマーレ(H)1-2(得点者:鈴木章斗/レオセアラ②)
2023年はお互いにアウェイ戦で1勝ずつ
リーグ戦以外で見ると、2023年は天皇杯ラウンド16で対戦しPK戦の末、湘南が勝利。2022年はカップ戦で対戦し、こちらはセレッソ大阪が2勝している
■所属選手が在籍時にこの対戦カードで得点を決めている選手
セレッソ大阪:香川が5得点、奥埜が2得点(カップ戦含めると3得点)北野、舩木、上門が得点を記録
湘南ベルマーレ:鈴木章斗が2得点、茨田、大岩、大野が得点を記録
■古巣対戦
セレッソ大阪:
福井光輝:湘南U15平塚出身(神奈川出身)
古巣対戦はいないが、福井は湘南のアカデミー育ち
湘南ベルマーレ:
池田昌生:セレッソ大阪U15出身(現在負傷中)
平岡太陽:セレッソ大阪西U15出身
こちらも古巣対戦はいないが過去セレッソ大阪のアカデミーに在籍した選手も
因みに鈴木雄斗・高橋直也・奥野耕平・鈴木章斗・小野瀬康介とガンバに縁のある選手が多い(在籍またはアカデミー育ち)
選手同士の縁で見れば、ルーカスフェルナンデスとルキアンはブラジルのルヴェルデンセECで共にプレー
奥田と高橋直也は2019年にガンバ大阪のU23で共にプレー
登里と鈴木雄斗や上福元は川崎で共にプレー
奥埜は、キムミンテや大岩と仙台で共にプレー
キムミンテは札幌ではルーカスフェルナンデス、進藤、田中ともプレーしている
他にも、ラファエルハットンは新潟時代、大野と共にプレーするなど他にも色んな縁がある。そうしたピッチ上の再開も注目したい
昨シーズンの成績(リーグ戦のみ)
セレッソ大阪:13勝13分12敗 勝ち点52の10位 43得点 48失点(-5)
先制試合:16試合 12勝4分(先制すれば負けなし)
先制された試合:20試合 1勝7分12敗(31節の湘南戦で逆転勝利)
スコアレスドロー:25節の町田戦、32節の柏戦
ホーム:8勝6分5敗 勝ち点30 24得点 24失点 得失点0
アウェイ:5勝7分7敗 勝ち点22 19得点 24失点 得失点-5
リーグ戦では12名が得点(レオセアラ21得点、田中・ブエノ・ルーカスフェルナンデス3得点、為田・西尾・北野が2得点、船木・カピシャーバ・奥田・柴山・香川・山崎が得点を記録)
複数得点:10試合
複数失点:13試合
無失点:11試合
無得点:7試合
<得点>前半14 得点 後半に29得点
<失点>前半は21失点 後半27失点
43得点中セットプレーでの得点は17点の39.5%。FKで4得点、CK起点で8得点を記録
48失点中セットプレーからの失点15で割合は31.3%(CKから9失点、FKから4失点を記録)
※後半開始15分以内に10失点(CKから4失点、PKで2失点)
昨季は開幕からリーグ戦は8試合負けなし(5勝3分)
シーズン途中で6試合勝利なし、4連敗含む8試合勝利なしと苦しい時期も経験した。昨季は最多得点が3得点(福岡戦、京都戦の2試合)
リーグ戦での5得点はユンジョンファン監督が率いた2017年5月14日の広島戦以来(5-2でセレッソ大阪が勝利)実に8年ぶりの記録となった
湘南ベルマーレ:12勝9分17敗 勝ち点45の15位 53得点 58失点(-5)
先制試合:16試合 8勝2分6敗(9/22のC大阪戦は先制するも逆転負け)
被先制試合:21試合 4勝6分11敗(12節鳥栖戦、15節新潟戦、32節鹿島戦、34節広島戦逆転勝利)
スコアレスドロー:13節の町田戦のみ
ホーム: 5勝4分10敗 勝ち点19 27得点 28失点 得失点-1
アウェイ:7勝5分7敗 勝ち点26 26得点 30失点 得失点-4
リーグ戦では12名が得点(ルキアンが11得点、福田と鈴木章斗が10得点、田中聡5得点、畑・池田が4得点、阿部が3得点、鈴木雄斗が2得点、石井・根本・平岡・小野瀬が得点を記録)
複数得点:15試合
複数失点:18試合
無失点:6試合
無得点:8試合
<得点>前半に22得点 後半に31得点
<失点>前半は23失点 後半は35失点
後半の終盤に強い(後半31分以降に15得点を記録)
53得点中セットプレーでの得点は12点の22.6%。茨田のFKからチャンスメイクも
58失点中セットプレーからの失点は17で割合は29.3%(FK3失点,CK11失点,PK2失点など)
昨季の湘南は2節の京都戦で初勝利。ただ、その後は9試合未勝利と苦しい時期もあった(4分5敗)ただ、リーグの後半戦は9勝3分7敗と勝ち越して残留を確定させた。山口智監督も2度月間の優秀監督に輝くなど要所で手腕を見せたシーズンだった
個人的な見どころ
昨季のホームで行われたセレッソ大阪VS湘南戦はセレッソ大阪が2-0で勝利。アカデミー育ちの舩木、北野の得点で勝利を掴んだ
ルーカスフェルナンデスのCKから舩木は得意のヘディングシュートで先制。北野は途中交代から即結果を出す得点が生まれて2-0の勝利
湘南も鋭いカウンターで何度もゴールに迫るも、キムジンヒョンのセーブに阻まれ得点とはならず
2-0のスコア以上にしまったゲームとはなったが、チャンスをモノにしたセレッソ大阪が勝利した一戦だった
セレッソ大阪は今季監督交代、そして選手も少し入れ替わりを見せた
特徴的な部分で言えばやはりレオセアラ、カピシャーバの移籍だろう
加えて、CBの鳥海が移籍し、横浜FMから畠中が加入
FWとDFのメンバーが入れ替わる中で、開幕戦はアタッキングフットボールを見せたセレッソ大阪が5-2と大量得点で勝利を飾った
対する湘南は「湘南らしさ」をより進化させている
ハードワークを土台に、攻守での意思疎通がより図れている印象だ
大きな入れ替えはない中で、鹿島から加入した藤井をWBへ。そして鈴木雄斗が最後尾にポジションをとった
田中聡が移籍し、影響はあるかと思われたが、奥野が持ち前の技術を発揮し、パスで前線の選手たちを上手く活かしていた印象だ
個人的に見れば、今季から変化を見せるセレッソ大阪。そして積み上げと共に進化を見せたい湘南ベルマーレという構図に映る
昨季とはまた違った展開が予想される
個人的な見どころは以下の3つを示したい
①アタッキングフットボール対NEW湘南スタイル
今季のセレッソ大阪はより「攻撃的」にと語った新指揮官のアーサーパパス監督。その言葉通り、セレッソ大阪はリーグ戦では8年ぶりとなる5得点を挙げて、ダービーマッチを制した
最終ラインからのビルドアップ、両SBも中に入り攻撃にも加わる
守備についてもハードワークを見せ、個の技術もあるセレッソ大阪の選手たちは躍動を見せた。ただ、前節のガンバ大阪は昨季とは異なるチャレンジをしていた側面もあり、昨季からの積み上げを丁寧に図る湘南に対して、攻撃面がどうはまるか注目していきたい
湘南はハードワークをして球際を強くという従来の部分に加えて、ボール保持の要素も昨季を取り入れた
昨季のボール支配率は51.8%でリーグ8位(セレッソ大阪は52.6%で6位)だった。2023年シーズンと比較すれば、セレッソ大阪は+1.2%とやや保持率が上がったのに対して、湘南は47.6%から4.2%と上昇した
昨季のリーグ後半戦は29得点24失点だった(シーズン全体では53得点58失点)チャンスの数は増え、失点の数が減少したポジティブな側面を、今季は開幕戦からもしっかりと見せた
新たなチャレンジを行うセレッソ大阪と、積み上げから更なる進化を見せたい湘南。それぞれのスタイル、そしてそのかみ合わせに注目したい
②球際の攻防。トランジションでチャンスメイク
セレッソ大阪は4バックのダブルボランチを今季も形成。2列目が3人で1トップというフォーメーションは今季も継続している
湘南も3バックの1アンカーで両WBにシャドーポジションに2人、2トップを形成している
ポジションではズレが生まれるものの、湘南は前節4バックの鹿島相手に、前線の選手が縦の仕掛けや、流動的な動きを見せて圧力をかけた
セレッソ大阪も攻撃的に攻め込む中でカウンターを受ける場面もあった。もちろんプレスバック含めて、各選手の意識も高かったがそれは湘南も同じ事が言える
お互いに切り替えの部分では集中力が試される試合になるはず。だからこそいかに相手のプレスをかいくぐり前進を見せるか
幅をとってサイドの攻防も見ごたえはあるが、ボールを奪った後の展開を大いに注目したい
③試合展開を変えるセットプレー
セレッソ大阪は前節、北野のFKから1点。そして中村のスローインから、相手のミスもあったが中島が個人技で得点を奪い切った
昨季も43得点中セットプレーでの得点は17点の39.5%。FKで4得点、CK起点で8得点を記録した。PKは5得点全てレオセアラだったが、ルーカスフェルナンデスはFKとCKで10得点分起点となった
今季はFKもCKも北野が蹴る場面もあるが、精度は素晴らしく、田中・進藤・畠中・西尾に加え、舩木もヘディングは強い
昨季の強みでもあったセットプレーから、難しい時間帯でもセレッソ大阪は流れを変える1発が期待できる
一方の湘南は昨季、53得点中セットプレーでの得点は12点の22.6%と決して高い割合ではない。一方で、58失点中セットプレーからの失点は17で割合は29.3%(FK3失点,CK11失点,PK2失点など)とCKからの失点は少し多くなっている
昨季のセレッソ大阪との対戦ではセットプレーから得点も、失点も両方があった。キャンプでも長い時間守備練習にも費やしたと新加入の藤井も語っていた。昨季の課題をしっかりと修正し、逆にセットプレーから得点という新たな強みも見出したい
まだ、寒さが残る2月末の一戦。今週も各地で寒波があり、コンディション調整は難しさもあったかもしれない
その中で、前節の勝利をエネルギーに、昨季よりもよりタフで逞しい試合を見れる事を楽しみにしましょう!
2月22日(土)の15時からヨドコウ桜スタジアムでの一戦。ケガのない、好ゲームを楽しみにしています!
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