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みんな気付いて楽になる

今から何年も前に吉祥寺に住んでいたことがあるのですが(よい街です)、ある日のこと。

帰り道、井の頭公園口のマルイの前に座り込む男性に思わず目が留まりました。

決してイケメンでナンパしようとしたわけではなく・・・

その人の顔色があまりに悪かったのと、そのまわりに漂う空気が微妙に周囲の雑踏から浮いている感じがして、

咄嗟に、「おお、死神みたい」と思いました。(当時、伊坂幸太郎さんの『死神の精度』という小説にはまっていて、街に死神がうろついているなら会ってみたいものだと思っていたのです)

つい目が離せず、さらに彼の姿をはっきりとらえようとした時、気がつきました。

最近たまにテレビで見かける芸人さんだ。

死神と芸人みまちがえた、、、(失礼)

そんなことを心の中で呟きながら、私はその場を通り過ぎて行ったのでした。

その後、まあ単純なもので、彼が出ている番組を見るとなんとなく応援したくなって、実際、少しずつ人気が出つつあるようでした。

たまたまインターネットで、彼がコラムを書いていることを知りました。その文章がぞくっとするほど上手で、笑えるほどのネガティブさと、その奥に隠しきれない世界を見る眼差しの優しさ、人間への無垢な好奇心、着眼点の鋭さがあって、私は彼の書く文章がとても好きになりました。

小説を書いてみたいと言っているから、きっと素晴らしい作品になるんだろうな。

そう思ってはいたけれど、まさか処女作が芥川賞を受賞するとは思ってなかった。


そんなわけで、私はお笑い芸人「ピース」の又吉直樹さんが昔から好きなのです。

少し前にyoutubeチャンネルを開設されて、日々の楽しみの一つになっています。

最近、「大人にしてくれた100の名言と迷言」というシリーズをupしてくれてるのですが、これも独特の視点が光っていて面白い。

又吉さんの記憶に残る言葉たちを紹介してくれていて、どれも味わい深いのですが、中でも私にも響いた言葉がありました。

1999年。ノストラダムスの予言があったり、不景気不況、奇怪な事件の報道も多く、どことなく暗い雰囲気が世界を覆っていた。

世の中にネガティブが蔓延していた時代。

まさにその年、真心ブラザーズというバンドが「サティスファクション」という曲を書いた。

その中に、

1999年 全てはここから始まる
みんな気付いて楽になる
全ての生き物が祝福する

という歌詞があって、これが「すっごいなぁ」と思ったと。

又吉さん曰く、自分はわりと物事を悲観的に捉えるタイプだが、真心ブラザーズは軽やかで、優しくて、呑気で、自分のように暗い奴も置いてけぼりにしないような格好良いポジティブさに惹かれると。

私も同じくとことん悲観的に捉えるタイプだったもので笑、わかるなぁ~と思いました。真心ブラザーズも、あの真っ直ぐ野太くソウルフルな歌声が好きだったのですが、この曲は知らなくて、あらためていいこと言ってるなぁ~と思いましたね。

動画を観てみたいと思ってくれた方はこちらをどうぞ。↓


そして、この真心ブラザーズの歌詞って、まさに今この時代の状況にも当てはまることだな、と思いました。

コロナのことで、これから先の将来を悲観的に捉える人もいるし、実際そう捉えることもできてしまう(ようにも思える)状況だけれど、

全てはここから始まる。みんながさらに真実に気付いて楽になる。全ての生き物がそれを祝福して喜んでいる。

という見方もできるし、実際、今の私自身は、まさにこの通りの流れが起きているなぁ、ということを日に日に実感しています。

軽やかに優しく、時に呑気に進んでいきたいですね。


ちなみに、このほかに、読者から募集したフィクション小説を又吉さん流に解釈して講義してくれるシリーズがあるのですが、これも面白い。笑

そういえば昔、国語の先生になりたかったのを思い出しました。今はもうなりたいとは思わないけれど、こんな授業だったらやってみたかったかも・・・。

真摯に言葉を紡ぐ人はやっぱり美しいなと感じます。


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