『ボウキョウ』によせて
相互フォローしている南葦ミトさんが長編小説を執筆され、また、それに連動した実験的な試みをされている。
ミトさんのこの個人企画のキモは、「身銭払ってでも是非多くの人に読んで頂きたい!なんなら私、皆さんにゼニ払いますから是非読んで頂きたいのです!」とゆ~ことではないかと俺は思った。
ミトさんの思いアツい。そして非常~に気合いが入っている。
なんと、読んで感想を書いてくれた人にミトさんがゼニを配るというのだ。
俺はホント~にスゴいと思った。ミトさんのこの企画力と実行力はマジでスゴいと思った。
「是非ともこの小説を買ってくれ!」ではなく、「ゼニを払うからこの小説を読んでくれ!」なのだ。
どえらいパッションである。
こ~ゆ~パッションには「おお!よっしゃ!そのパッション確かに受け取った!」みたいになるのだ俺は。
しかもこの企画には、「ゼニは回してナンボ」みたいな経済の基本のエッセンスも何となく感じるではないか。
ミトさんは愛娘のふーちゃん(←かわいい)との可愛らしいエピソードなんかも書いていらっしゃるのだが、やはりやるときはやる女性だなと思った。
なので、今回のミトさんの実験的な試みに参加させて頂くことにした。
そんなこんなで俺はミトさんのパッションに心打たれたので、第1話の感想を書かせて頂こうかと思う(以下ネタバレ有り)。
まずタイトルの『ボウキョウ』についてだが、これは、ふるさとを懐かしんで思いを馳せる「望郷」をカタカナ表記したものだと思われる。
「望郷」を何だか記号化したようにも感じるのだが、もう1つ感じることが俺はある。
それは、3.11以来、福島が「フクシマ」や「FUKUSHIMA」と表記されることが増えたことを思い起こさせるのだ。
この『ボウキョウ』というカタカナ表記にどのような思いが込められているのか。
今後のこの小説の展開を通して読み解いていきたいと思った。
作者のミトさんは福島県のご出身だ。
その福島県への様々な思いが綴られていく小説なのだろうな~と思うのだ。
物語の登場人物である充希もおそらくは福島県出身であり(第1話では「福島県」という明確な表記はなかったのだが何となくそれを連想させる表現があった)、もう一人の登場人物ノノもまた福島県に5年間いた設定になっている(因みに、ノノの父親は原発で働いていたように思える)。
この二人を通してミトさんの故郷に対する様々な思いが今後語られていくのだろう。
この先の物語もじっくりと読んでいきたいと思った。
「フクシマ」について語ろうとすると、どうしてもと言うか、何となく政治的な色合いが濃くなってしまいがちだと思うのだ。
ところが、ミトさんが小説という形をとって「フクシマ」を語るのであれば、それは取っ付きにくい政治色みたいなものは薄れ、多くの人が共感出来る「郷土愛」から紡ぎ出されたものになるのだろう俺は思うのだ。
俺はやたらと愛国心を求めるような言説や、その逆の言説もあまり好きではないのだが、自然と育まれてきた郷土愛には共感を覚えるのだ。
といっても物語の登場人物たちは、その郷土愛的なものについて、第1話の段階では様々な思いがあるようなのだが…
そして、第1話での二人の女性の爽やかなやりとりがとても心地良い。
いぜむさんの素敵な挿絵との相乗効果もあって、汚れちまった俺の精神(←めちゃめちゃ汚れている)をキレイにしてくれるような感じがした。
でも、この後きっと色々あるわけよな~なんて思うわけで続きが非常~に楽しみである。
いやいや素晴らしい。