#7 成仏できていない母と直接対面! 亡き母からの第一声とは
サイキックな能力を持つセラピスト、KANNAさんから、「お母さんはまだ成仏していなくて、今はKOTOさん(私)に対して恨みに似た気持ちもありそうです」と聞き、ショックを受けたのが前回のお話↓↓
KANNAさんから、「今、お母さんがすぐそばに居るのでしゃべってみますか?」と提案され、意を決して話してみることにしたのだが……。
私を恨んでいるという亡き母と対峙
KANNAさんは、私の右隣のほうにそっと手を差し出しながらこう言った。
「今、そこにお母さんがいらっしゃるので、KOTOさんの気持ちをお話してみてください。お母さんからの言葉は、私が代わりにお伝えしますね」
うわ、どうしよう。話そうと決めたものの、一瞬、心臓がキュっとなってしまった。
私を恨んでいるという母親と、直接対話するのはなんだか怖い。
それにKANNAさんの目の前で、見えない母に向かって、語りかけるのも妙に照れ臭かった。
その上、私は、母のことをずっと「ママ」と呼んでいた。もうすぐ50になろうというのにそれを知られるのも、ちと気恥ずかしい……。
いっそ、「お母さん」と呼んでみようか。
いやいや、かえって不自然だ。
一度もそう呼ばれたことがない母も、「はて?」となるだろう。
KANNAさんは優しく微笑みながらも、私が話しかけるタイミングをじっと待ってくれている。もうここまで来たらやるしかない。「えいや!」っと、言葉を投げかけてみた。
「ママ、久しぶり。私だよ」
人は追い詰められると、とりあえず挨拶をしてしまうみたいだ。
「なによ」
うわ、テンション低いし、怖いんだけど……!
KANNAさんは一拍おいて、「お母さん、こう言ってますね」と教えてくれた。どうやらKANNAさんは、母の言葉をそっくりそのままのトーンで伝えてくれるようだ。
私は、おそるおそる再び母親に話しかけた。
「今、目の前にいるKANNAさんから聞いたんだけど、ママ、私に対して恨みの気持ちがあるんだってね。どういうことなの?」
「なんなのよ、急に。知らない」
ああっ! 思い出した。そうだった、そうだった。母は昔から、子どもっぽい言い方をするときがよくあったんだった。
特に認知症になってからは、小さい子のように駄々をこねて、「もう、知らない」と、私やヘルパーさんたちをたびたび困らせていた。
この吐き捨てるような言い方。話している相手は、まぎれもなくうちの母親だと実感できた。リアルすぎて、ビビるんですけど……。
再び母に話しかけた。
「あのさぁ、ママ。私、大学に入った後、家にほとんど帰らなかったじゃない? そのことを怒ってるの?」
「そうだよ。だって、あなた、私が一番つらいときにそばに居てくれないし、助けてもくれなかったじゃない」
「いやいや、そんなのわからんかったし。私も大学生になって東京での生活に忙しかったからさ。まぁ、でもこっちから連絡とらなかったのは、よくなかったかもしれないね」
「…………」
母は黙り込んでしまったようだ。
ここでKANNAさんが会話をいったん止めて、母の様子について教えてくれた。
「お母さん、拗ねている感じですね。ずっと下を向いて、体育座りしています」
「あちゃ……。うちの母、子どもっぽいところがあるんですよ」
「うんうん、少女のような方ですよね。KOTOさん、またお母さんに話しかけてみることはできますか?」
「はい、やってみます」と言ったものの、正直、もう逃げたくなった。早くも会話を終わらせたい。それは明らかに私への恨みのような念(拗ねている感覚)を感じたからだ。
そのことが悲しかったのか、それとも母の心の苦しみを感じ取ってしまったからなのか。よくわからないけれど、涙がどんどんあふれ出てしまった。
のどの奥からようやく絞り出したのが、この言葉だった。
「ママ、私が家に帰らなかったから、寂しかったんだよね。寂しい思いをさせてごめんね。本当にごめん……」
「謝っても無駄。私の気持ちも知らないで。誰も私のこと、わかってくれないんだから!」
その声は怒りに満ちていた。
感情がテコでも動かない。そんな強い意思を感じた。
私は目に涙を溜めたまま、茫然と一点を見つめてしまった。
自分の思いを正直に伝えることへの葛藤
再びKANNAさんが私に向き直って、母の状況を伝えてくれた。
「お母さん、ずいぶんと感情が凝り固まっているみたいですね。お母さんて、もともと頑固なところがあるように感じるんですけど、どうですか?」
「そうなんですよ……! 頑固だし、プライド高いし、見栄っ張りだし。ああ、なんて言ったら母の心を解きほぐせるんでしょう」
「そうですよね。ここまで凝り固まってしまうと、なんて言ったらいいかわからなくなっちゃいますよね。でも、今は、お母さんのためにというより、KOTOさんが思っていることを、お母さんに正直に伝えてみたほうがいいと思いますよ」
「な、なるほど、そうですか……」
うーん、そうは言っても、言いづらいのよね。本音を言ったら、母からさらなる怒りの感情が跳ね返ってきそうだし。
もう、これだから、人の感情ってもんが苦手なんだよ、私は。
お互いに感情をぶつけ合うのとかも、ホントに嫌だ。
こういう局面は、極力避けて生きていきたい。
でもなぁ、ここで引っ込めても前に進めなそうだしなぁ。
いっそ本心、言ってみちゃう?
自分の中で、ぐるぐると感情が渦巻く。
少し間をおいて、踏ん切りをつけた。
よし、言ってみよう。
「ママ、私がずっと連絡をとらなかったのは悪かったと思うけど、娘に助けを求めるのはどうなのかな。普通、親だったら、娘が元気で楽しく暮らしていたら、それだけでうれしいもんなんじゃないの? 幸せなんじゃないの?」
すると母から、想像の域をはるかに超える、衝撃の一言が返ってきた。
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