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デザイナーの一人語り No.1「盗める技術は全て盗め」

盗める技術は全て盗め

これは、今は亡き恩師が言った言葉です。当時まだ高校生だった私は、美大受験のために試験科目にあった絵画の対策として、下校後に絵を習っていました。

その頃の私は、人の技術を盗むことに凄く抵抗を感じていました。技を盗むなんて、何か悪いことでもしているかのようで、人の真似は絶対にしないで、なんとか上手な絵を描こうと試行錯誤していました。

しかし、恩師はこう言いました。「簡単に盗めるような技術は、たいしたことではない」「本当の技術というのは、何年かけても盗めないものだ」だから、盗めるものは全て盗めと言うのです。

確かに、日本の伝統工芸など職人の技は、そう簡単に習得できないものだなと、当時すごく納得しました。

技を見て習得した職人の父

私の父は建具の職人だったのですが、学校を卒業してすぐに丁稚奉公をして親方のもとに住み込みで修行をしていました。
しかし、親方は一切、技を教えようとせず、建具の作り方さえも教えてくれなかったそうです。ノコギリも、カンナの使い方も、全て「見て覚えろ」と言われたそうです。父は何年もかけて技を習得し、それはそれは苦労したそうです。

ノウハウを全てnoteに書いている私

本当に欲しい技術というのは、どんなに真似をしても、なかなか出来るようにはならないものです。それだけ職人というのは、技を磨くのが大変なんです。それは、身をもって自分も経験してきました。

私がnoteに書き記している島津寿制作デザインの教科書というマガジンは、今まで培ったデザインのノウハウや知識を、包み隠さず全部おおやけにしてます。それは、たとえ同業者であっても、盗める技術は全て盗んで欲しいからです。これからデザイナーを目指す方にも、なるべく遠回りをせず、近道でステップアップして欲しいです。私が遠回りの人生だったから。

みんなの個性にはかなわない

そして、みんなが生まれ持った個性には、自分がどう抗っても、かなわないというのを知っているから。むしろ周りとは戦わないことにしています。

どんなに若い方であっても、彼らが持っている個性はそれぞれ素晴らしく、技術が有る無しに関わらず、どう頑張ってもかなわないのです。だから「競わない」と決めたら、気持ちが凄く楽になりました。

そう思うようになったのは、私がカルチャースクールで絵画教室の講師をやったのがキッカケです。数年前から、私はお年寄りや小学生に水彩画を教えているのですが、生徒たちは絵の技術は下手ですが、小学生でも素晴らしい絵を描く子がいて、彼らが生まれ持った個性には、私は到底かなわないとそのとき悟りました。

最後に

みなさんには、盗める技術は全て盗んで欲しいです。noteは多くの方の経験や知識が詰まっていますからね。盗み放題、盗んで切磋琢磨し、共にステップアップしていきましょう。

島津寿制作/デザイナー

(次はぜひデザイナー一人語りNo.2をご覧ください)


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