話好きな高齢者ばかりではない
高齢者の誰もが話好きだと思ったら大間違いでさ、
人によっては自分のことをしゃべりたくないって人もいるわけ。
いわゆる「地雷」ってやつもあるし。
たとえば、少し前に奥さんを亡くした利用者さんだとしてね。「いつご結婚されたんですか?」「お子さんは何人いるんですか?」みたいな、家族を思い出させるような会話って、ちょっと無神経かもしれない。
仕事に関してもさ、だれもが真面目に勤め上げたわけじゃないのよ。定年までひたすら家族のために働いて、清々して仕事を辞めた方もいると思うし。
趣味のことだってさ「無趣味でとくに何もない」人もいる。テレビを見てるだけでいいっていう人もいる。
夫婦の関係もそう。世の中、円満な夫婦の方が少ないのかもしれないし。
犯罪を犯して、塀の中にぶち込まれていた方もいるかもしれない。
話好きだろうと思って話しているのは、結局スタッフがおしゃべりなだけの場合も少なくないと思う。
傾聴ってさ、あえて聞かないことも傾聴の中に含まれているんじゃないかな。
・・・
デイサービス。
ひとりの介護スタッフが、お風呂から上がってきた男性利用者さんに話しかけたんよ。
「ドライヤーしますか?」
「・・・」
「髪の毛乾かしましょうか?」
「・・・」
「・・・」
スタッフの声掛けに一切応じようとしないのね。無言を貫いて、休憩がてら椅子に腰掛けている。
応答のない利用者さんに愛想をつかして、そのスタッフは別の利用さんのところへ行ってしまったんだどね、
いやいや、ハゲてんねん。その利用者さん。
ハゲにドライヤーって、豚に真珠・猫に小判と同じ意味やぞ。
頭皮、焦げるぞ!
流れ作業的に仕事をしていると、会話の意味がまったくない会話が繰り広げられることがあるのよ。
「頭痛いイタイですか?」やないねん!
白飯とチャーハンじゃないのよ。夏場に半袖ダウンじゃないのよ。
逆にね「おお。乾かしてくれ!」って言われた時の返しを用意してるんだろうな!
どうすんのよ。
「あ!乾かす髪がなかった!なんちゃって!」みたいに小賢しい真似をして、傷口に粗塩をねじこむおつもりですか?!毛根にパテを押し込んで、穴を完全に塞ぐおつもりでしょうか!
それとも髪の毛があるように振る舞う「エアードライヤー」でもするつもりか。ややこしいな!ドライヤーはエアー(空気)でるしなぁ!
この空白の時間。
利用者さんとあなた。ふたりの間を風が吹き抜けた瞬間を、
なんて名付けてやろうか!
「風と共に去りぬ」ってか!
よし、このくらいにしといてやろう。
無口な高齢者を生み出したのは、きみが原因かもしれないね。
追伸
「ハゲてるかもしれんけど。一応、ドライヤー聞いてね。」って言われたらどうしようね。
介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。