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【介護エッセイ】白い霧の向こうに広がっている世界

その利用者さんは、デイサービスに来るとき、いつもラジオを持参してくる。

野球中継を聞くためだ。

ズボンの後ろポケットに入りそうなくらいの小型の黒いラジオ。右側についている丸いつまみを回して周波数を合わしていく昔ながらのラジオ。

ぼくもその形式の携帯ラジオは持っているが、災害用に買ったもので防災リュックに長年眠ったままだ。使わないことを祈るが、結構高かったのでなんか勿体無い気もする。
スマートフォンがあればラジオはいつでも聞けるから、というかラジオ聞く習慣がぼくにはない。

その人は肌身離さずいつでもラジオを持って移動する。ひと昔前のラッパーのよう。

その男性利用さんは、目が見えない。

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