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友人と本を貸し借りすることで幸福になれる話
あなたは誰かと本の貸し借りをしますか?
いつからだろう。
友人と本の貸し借りをしなくなったのは。
あれは今から10年ほど前。
高校生の時まで遡る。
部活の始まる前は部室でみんなで漫画を読んで、
面白い漫画を見つけたら貸しあって、感想を語り合っていた。
それが大学生になり社会人になり、
年数の経過によって本の貸し借りはしなくなった。
一番の原因は、紙の本を読むというエンタメの順位が下がったことだと思う。
YouTubeやSNS,Netflix,TikTok,Spotifyなど様々なエンタメが台頭し、様々な選択肢から自分にあった楽しみ方を選べるようになってきた。
例えば通勤時間。
ギュウギュウに敷き詰められた電車の中で本なんて読めるはずがない。
であれば、音楽やラジオを耳で聴こう。
動画や新聞をスマホで見ようということになる。
そうすると、
本を読む時間が失われていく。
本を買う機会が減っていく。
本を買う場所が無くなっていく。
気づけば負のスパイラルに出版業界というものは陥っている。
こうして多くの人々は読書からの卒業を迎えてしまうのだ。
必至に抵抗を続けたい私だが、
家庭の節約志向による本の購入冊数の減少。
近隣図書館に通いつめたことによる新たな出会いの低下。
似たようなジャンルの本を読むことによるそのジャンルへのマンネリ化。
などなど!!
このままでは私も読書の時間を削ってしまい、
気づけば動画や音楽、ラジオの虜になっている懸念も高まった。
そんなときに友人からの天のひと声。
「ことぶきの持ってる本面白そうだね!
私も何か貸すから貸してよ!」
読書垢を初めて早10年近く。
自分からのアプローチも無かっただけに、誰かと本の貸し借りをする機会は皆無だった。
そこに訪れた天使、神様、ノアの方舟。
自分でも忘れていた。
本は貸し借りできるものだと。
ピンときていない人がいるかもしれないので、
念のため
友人と本の貸し借りをすることの私なりの利点を3つ
あげておく。
➀感想を語り合える人がいる
これは読書に限った話ではないが、
ディズニーランドのファンタジースプリングスに行った、
「はたらく細胞」の映画を見た、「イカゲーム2」をNetflixで見た などなど
こうしたエンタメを享受した時には誰かと語り合いたくなるのが人間の性。
毎回語り合うのはしんどくても、たまにだったら良いかなと思えたり、
人と直接会って話すのはしんどくても、SNS上のやり取りだったら良いかなと思えたり、
誰かに伝えることはしんどくても、感想や考察を見るだけだったら良いかなと思えたり、
エンタメの楽しみ方は人それぞれある。
自分としては本の感想を語り合わなくても良いかなと最初は思っていたが、
いざ本の貸し借りをして感想を言い合うことの楽しさたるや。
誰かと喋ることで内容がより鮮明になるのに加えて、
自分では気づかなかった観点に触れるという点でも素晴らしきことである。
➁今まで自分が読まなかったジャンルに触手が伸びる
個人的にはこれが一番嬉しいことかもしれない。
書店ではよく見かけるけど手を出しづらかった本や友人との貸し借りをしなかったら見向きもしないと思っていた本に出合える。
読書がより一層好きになる。
本の貸し借りをすることで半強制的に本を読まないといけなくなる。
(でも何故か強制力は強くない)
せっかく貸してくれたから。
相手から一方的に新しい本をオススメされたから。
理由は様々だが1人では決して感じなかった読書意欲が呼び起こされるのである。
例えば友人が貸してくれた
「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」
失礼ながら岸田奈美先生はこの本で初めましてだった。
タイトルは良いことを言ってるけど、面白いのか?
と疑心暗鬼になりながらも本を開く。(失礼すぎる)
ただ気づけば本を読みながら涙、涙。
岸田先生の文章は読みやすくもあり、面白くもある。
そして家族との関係性がとても伝わってくる。
ノンフィクションも相まって自分に刺さる文章の数々。
あっという間に読み終え、この本に出合えてよかったと思えた。
こうした経験もあって友人との本の貸し借りはやめられないし。
もっと多くの人と本の貸し借りをすれば、さらに新しい景色が見れるんだろうなと思っている。
➂読書をしている時や書店にいる時に友人の顔が浮かぶ
例えば、どんでん返しで衝撃を受けた本
例えば、面白いギミックが組み込まれていて没頭した本
例えば、話題になっているコミック
などこれらの本を読んでいる時に、
この本を友人に貸したらどんな反応をしてくれるかな?
というワクワクも兼ね備えるようになった。
それに書店へ行って本を見ているとその人の顔が浮かんでくる。
「岸田奈美さんの最新作だ!」
と今までであればきっと目移りしていた本にも、
新たな感情が芽生えるようになった。
本を読むことが好きになるし、
書店に行くことが好きになるのだ。
負のスパイラルを正のスパイラルへ
前述した負のスパイラルである
本を読む時間が失われていく。
本を買う機会が減っていく。
本を買う場所が無くなっていく。
これらは誰かと本を貸し借りすることで正のスパイラルへとカタチを変えていく。
本を友人に借りる。
本を読む時間を無理やり捻出する。
友人に貸すための本を買う。
本を買う場所が守られていく。
このように好転していくのを読書好きの人々は望んでいる。
私はこれからも沢山の本を読んでは、その本を誰かに貸せるのを今か今かと待っている。