眺望良好、息を切らして
だらしなく無気力な男だ。
耳鳴りばかりに気を取られてしまう
重く沈み込む空調の爪痕がボロく、思考は厭に冴えているのに
寄りかかって埋まるまま、独りでは余るソファーに膝を抱えてしまう
湿り気を帯びた白檀の烟りだ
化粧を落とした女を書斎に収め演じるように彷徨きまわる
赤い糸は切れてしまったのだ。
その記録、海のようでいて蚯蚓のようにだいぶ水が溜まっている
目印が黒点と賽の目が結晶とつぶらに鈴の音を偲ばせる
今この像の柱から肌にかけて突っ張る生え際から襟首まで
いくつかの凹みとカブレがある
ヌバいろの今昔に中たる言論の歯型ついて。
乱れた底に過度におられた罪について。
今こうして、熱帯夜です
世界から言葉が、高尚な輝度から純に一夜に殺されていました
無料アプリでひいた迷惑メールの文、盤石の上のお天気やさんへ。
数歩下がって手をひく、ちょうど餞別。あたじけない色として
右部から雨の川になぎすてた果実の数だけ
まるで夢遊病書宜しく、眠気くるめく天邪鬼がたわむれる
汚れ付いた沁みのようなもの
ぼたぼた、足元に倒れていく、
琥珀との名残を留める 天を振り仰ぎ、
孤独を織りなす、残照のつれないまま
陰影を引き攣れ、縒ツれないまま。
真直な言い分が拍手を送る。
清々しいほど けだかし
荒々しくも ずるう
勝手な認識だ。
捨て身の残物の悲哀が溶け出したもの、
薄気味悪く、にじみて/めくるめく、填めりゃ
、くいものこらずに
少なからずきれいなだけの星空やお花畑で対談する、虎や蝶や蟻や象でさえ、
ただ乗せられているだけの口車のお陰で、仲良くあり続けることが、簡単に叶う
紗幕の裏で、ゆらゆらと宙吊りであり続ける、かもめのモビールと
「助けあげたんだって」
足場の弱い煉瓦は隆起と陥没を繰り返し粉々の間に花を散らばした眺望良好、
息を切らして。
のんびりと。
高山にもならない散歩道を咲き誇るは在り来りのエゾタンポポと、
どこか遠くを見ているようです。
2023-04-19 00:35:44