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ことばとき

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読み手の解釈に委ね、 梳かれた言葉ごとに読み取る詞。 捻り捩じった羅列・流れの一音、 どれだけの意味が込められるか。 心に浸透するような詩でも 世界が思い描ける小説とも遠い、…
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#掌篇小説

羽根

 脇道から逸れ和やかな場所へふと帰り着く。  ああそれでとわのなかにもあり、重ね合わせた平行線をアヤのように包み込んでは。この場にて、胸をなでおろしたものだ。夢も歴史もないその時をぼんやりと凌いでいる。降ってわいたものを努めては押し殺す。黙認した空が遠くあり嘲笑うように散る。  そんな、ひとたびのこと。  泣いているのだろうな。  階段の踊り場でふと思い出した、(なんてこともないのですよ。)駆け込んでシートに座り暗転を待つ、明け暮れないロードショーは片手間を濡らしただけ。映像