人生を売ったその先は
「これから帰る」
同居人から届いた連絡で時刻を確認する
定時から3時間ほどオーバーか…
あなたは何のために働いているの?
叩きつけたい言葉をグッとこらえ
「お気をつけて」
ただ一言だけをなんとか送り返す
残業をすればそのぶん稼げる?余裕ができる?
一緒に暮らす人との時間、自分のための時間を削ってまで
その余裕は必要なのか
そもそもそれは"余裕"と言えるのだろうか
定時過ぎ。会社へ売った時間をギュッとまとめたら
もっと、もっとやりたいことができたんでないかい
あなたの人生は誰のため
あなたの時間は誰のため
自分で売ることを選んだのだと本人に言われてしまえば
他人である私はそれ以上もう何も言えない
溢れる感情と言葉に被せ物をしながら
ふと同居人が歯医者の予約を忘れていないか心配になる
会社に時間を多く売っているために
自身のメンテナンスに使う時間が限られてしまうなんて考えものだな
心配すれど確認の連絡はせず
1日8時間以上を、自分の人生を
会社へ売ることの意義と末路について考てみるが
明るい答えは出なかった