こどもとあそぶ。ことばであそぶ。〜⑲海外生まれの知育おもちゃを100均で〜
海外製の高価知育おもちゃと同価値100均グッズ
前回投稿はこちら。
キャンドゥのマグネットシリーズ「おへや」の紹介
キャンドゥにある、子ども心鷲掴みのフレークマグネットシリーズ。子どもだけでなく大人も「かわいい!」となること間違いなし。私もたくさん集めています。
こちらのシリーズ、子どもに渡しておけばもくもくとひとりで遊んでくれること請け合いですが、どうせなら親子で一緒にことばを育むような遊びに変化させてみましょう。
今から紹介するのはなんと海外製の有名知育おもちゃを再現できてしまうという凄い遊びです。
療育の現場でお馴染み「テルミー・ザ・ピクチャー」
ボーネルンド社は、子ども向けの良質な知育おもちゃを扱っている老舗の海外ブランド。子どもの発達を促す優れたおもちゃがたくさんあります。その中でも有名なのが「テルミー・ザ・ピクチャー」。
マグネットと背景画が2枚ずつ入っており、背景画にマグネットをぺたっと貼り付けられる仕様になっています。背景画はスタンド式になっており、子どもと大人、それぞれが自分の手元の絵だけを見られる仕組みです。
この状態で大人が、「屋根の上に猫がいるよ」などと指示を出しながら、手元の絵にマグネットを配置していきます。子どもはその指示に従って同じように配置します。最後に答え合わせです。
「あれ? この遊び方、なんだか知ってるぞ」という方。鋭い! そう、ひとつ前の記事で紹介した、メモリーカードを用いた動物マンションに似ていますね。動物マンションは左右の学習が目的でしたが、こちらの遊びの狙いは、指示を最後まで聞いてその通りに行動するという、子どもの理解力を育てること。療育に通っているゆっくりさんたちの中には、幼稚園や保育園で「集団の指示が聞けない・理解していない」と言われる子たちも多く、そのためこのような課題を取り入れています。もちろん、ゆっくりさんだけでなく、すべてのお子さんにお勧めの遊びです。
子どもたちも楽しんでくれる課題ではあるのですが……けっこうお高い。保護者には勧めにくい……。
というわけで、これを100均グッズで再現してみました。
用意するのはフレークマグネット「おへや」。家具がたくさん入っています。
この「おへや」が2セット必要です。100円×2セット=200円。本家本元に比べたらなんてお安いお値段でしょう。
そのほか、仕切り用の衝立と、マグネットで利用したい方はホワイトボードなども必要です。ホワイトボードは普通の白紙でも代用できます。
100均版テルミー・ザ・ピクチャーの遊び方
ホワイトボード(または白紙)の上に、家具を同じように配置します。
あとは本家と同じです。付属のネコとクマのマグネットを使って、まずは大人が指示を出します。慣れたら子どもも指示出しをしてOKです。
このテルミー・ザ・ピクチャー。ただ遊んでいるように見えて、色々な力が試されている、奥が深い課題です。たとえばこのマグネットシリーズには、机や椅子だけでも数種類入っています。「机の隣にいる」という説明だけでは、どの机なのか、また隣は右なのか左なのかなど、正しい指示が伝わらないのです。
「自分の説明では伝わらない」とわかれば、子どもたちはより詳細な説明を加えるようになります。そうすることでことばやコミュニケーションの力が育っていきます。もちろん「伝わらない」という失敗体験をなるべくさせないよう、「どの机?」「隣っていうのは右かな、左かな」などと大人がプロンプトを加えていくのは、前回説明した通りです。
テルミー・ザ・ピクチャーは理解だけでなく、説明力やコミュニケーション力を育む遊びでもあります。だからこそ療育の現場だけでなく、一般家庭でもお勧めです。ひとり遊びのマグネットを、親子で楽しめることばあそびの時間に変えてみませんか?