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幼児の吃音の話③DCMとリッカムプログラムって何?(前編)

幼児向けの吃音ガイドラインが整備されたことを受け、幼児の吃音について考えていくシリーズ。今回は幼児向け吃音治療法の紹介です。

5歳までに吃音が自然治癒しなかったら?

前回のnoteで、3歳の時点で吃音を発症していた子どもの8割近くが、2、3年で自然治癒すると紹介しました。

5歳(年中さん)の段階で、吃音がなくなっていれば、そこで言語聴覚士の介入は終了としてもいいでしょう。

では5歳の段階でも吃音が残っていたらどうしたらいいのか。ガイドラインではこの時点で「積極的な介入の検討に入るべき」としています。

DCMとリッカムプログラム

その「積極的な介入」として最も強く推奨されるものがRESTART-DCM(リスタート・ディーシーエム)とリッカムプログラムです。どちらも海外生まれの治療法ですが、吃音の領域では吃音の消失・減少につながる効果的なプログラムとして、世界中に広がりつつあります。

RESTART-DCMは、子どもの吃音の症状を「子どもの発話や言語に関する能力(capacity)に対して、周囲の大人の要求(demand)が高すぎることで生じる」と捉えます。簡単にいうと「子どもの言語能力はまだそれほど高くないのに、大人が難しい発話を子どもに求めてしまっている」ということです。

たとえば大人が「今日幼稚園どうだった?」と質問するとします。この「どう(how)」という質問に対する答えは、子どもにとってなかなか難易度が高いです。「楽しかったよ」と一言で済ませられればいいですが、もし幼稚園で嫌なことがあったとしたら、一概に「楽しかったよ」と言えません。嫌だったことの説明を細かくしなければならないとしたら、それ相応の言語力が求められます。

では、この「幼稚園どうだった?」という質問を、「幼稚園楽しかった?」という質問の仕方に変えてみるとどうでしょうか。子どもは「はい・いいえ」の2択で答えればいいわけですから、言語的なハードルはぐっとさがります。こんなふうに、日常生活上での大人の要求(質問)を、より簡単にシンプルなものに変えて、子どもの負担を減らしてあげましょう、というのがDCMの基本的な姿勢です。

この流れを見ていただくとおわかりかと思いますが、RESTART-DCMはご家庭の生活に介入をするプログラムになります。そして言語聴覚士の指導を主に受けるのは、子どもではなく保護者の方です。

DCMでは1日15分程度のおうちトレーニングを、週に5日以上の割合で行うことになっています。そして定期的に言語聴覚士に面会し、ご家庭でのやり方が正しくできているのか、治療がスムーズに進んでいるのかなどをチェックしてもらうことになります。

今回はRESTART-DCMの紹介をしました。次回はリッカムプログラムについてご案内します。


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