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【ことばの指導】2−3語文トレーニング

このシリーズでは、普段私が臨床で取り入れている指導方法をご紹介します。主に専門家向けの内容になりますが、一般のご家庭でも取り入れていただけます。道具は百均で手に入ったり手作りできたりするものがほとんどです。

小さなお子さんの療育では、いかに子どもに楽しんでもらえるかということを第一に考えます。その上で目標(今回の場合は2−3語文の表出)をどうクリアしていくかが大切です。

今回は2つの指導法を紹介しています。どちらも2〜4歳児に大人気のメニューですが、ときにお子さんが気ままに遊び始めて指導にならないことも。そうならないよう誘導するコツも紹介しています。

2−3語の表出を目指す指導法

①アンパンマンもぐもぐ

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用意するもの:空き箱、キャラクターもののイラスト、食べ物のイラスト

【作り方】お菓子の空き箱にキャラもの(私は子どもたち大好きアンパンマンシリーズ*著作権の都合上写真は加工しています)の顔を貼り付け、カッターで口を長方形にくりぬきます。別で食べ物イラストを小さく切ったものを用意します。お菓子の空き箱がなければボックスティッシュの空き箱でもOK。ビニールのびらびらがついていない方にキャラを貼り付けたらいいです。

食べ物カードは、私はダイソーのシールブックのものを使っています。

【使い方】食べ物を各キャラクターに食べさせていきます。ターゲットが2語文なら「アンパンマンがもぐもぐ」「バイキンマンがもぐもぐ」、「りんごをもぐもぐ」「さかなをもぐもぐ」などです。3語文なら「アンパンマンがりんごをもぐもぐ」「バイキンマンがおすしをもぐもぐ」ですね。

【コツ】初めからすべての食べ物をばら撒くと、子どもは口の中に入れることに夢中になり、ひたすら作業のように入れ続けてしまいます(経験者は語る)。

・指導者がひとつずつ渡してあげる

・指導者と交代で食べ物をあげるルールにする

以上のような誘導が大事です。本人の自発話や復唱が引き出せればよいですが、指導者のことばを聞かせてあげるだけでも十分だと思います。食べ物を渡しながら「りんごはどうする?」というふうに発語につながる誘導も大事です。

また、箱はなるべく丈夫なものを用意した方がいいです。食べ物カードも、私は段ボールほどの固い素材を使っています。

【その他】2−3語を目指す頃のお子さんの場合、同年代の子どもと一緒にまだ遊べない子も多いです。指導者と交代で行う、といった簡単なルールを守る訓練にもなります。「順番ね」と声をかけながら、遊びにルールがあることを学んでいきましょう。

【その他2】同じ食べ物カードを2種類用意すれば、マッチング課題にもなります。指導者が見せたのと同じカードを好きなキャラに食べさせる、といった形です。発語がないお子さんにオススメです。


②乗り物でGO!

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用意するもの:飛行機とバスのイラスト、動物のイラスト、マジックテープ(ダイソーの手芸売り場で購入)

【作り方】飛行機とバスのイラストを印刷し、ラミネート加工します(私はA4サイズ)。動物イラストも同じようにラミネート加工します。乗り物と動物にそれぞれ切ったマジックテープを貼り付けます。

動物はこちらもダイソーのシールブックです。

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【使い方】飛行機かバスかのどちらかに動物をどんどん乗せていきます。2語文ターゲットなら「飛行機にのる」「バスにのる」、あるいは「きりんさんがのる」「ぞうさんがのる」といった感じです。3語文なら「きりんさんがバスにのる」「ぞうさんが飛行機にのる」となります。全部貼り終えたらバスか飛行機か選ばせて「出発!」と声をかけたら、楽しく振り回してくれますよ。

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【コツ】上記のアンパンマンと同じく、全部の動物を一度に渡すとただただ貼り付けるだけの作業になりがちです。私はいつも子どもの分とSTの分を小さな箱に入れて用意し、片方だけを子どもに渡すか、ひとつずつ渡します。アンパンマンのときと同じように、「きりんさんはどうする?」といった発語を引き出す誘導をするほか、こちらも「順番ね」とルールを守る練習になります。

こちらの誘導にのってくれず、自分の分だけ無言で貼り付けられて終わってしまった場合、ほとんどのお子さんが残っている指導者の分を欲しがってきます。その際に「順番守ろうね」「先生と半分こできる?」「先生の真似できるかな」といったふうに、覚えてほしいルールをもう一度教示できるチャンスです。

【その他】私が使っているバスのイラストは、先頭席が2つあります。そこに2席あるのがどうしても気に入らず、2個のマジックテープの間に動物を載せたいと癇癪を起こすお子さんがいました。急遽セロテープをまるめたものをそこに貼って、機嫌よく訓練を続けることができました。後ほどそのお子さんにはASDの診断がおりました。こちらが思わぬところにひっかかるお子さんもいます。訓練しながらも子どもの反応を観察することを忘れてはいけないなと思いました。


以上、2−3語文の指導方法をお伝えしました。ぜひとりいれてみてくださいね。


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