【ことばの指導法】語彙を増やそう!なぞなぞかるた
言語聴覚士が実際の現場で使っている指導法を紹介するシリーズ。今回はなぞなぞかるたです。
語彙が少なくて……というお悩みにぴったりの楽しい遊びです。
語彙ってどうやって増えていくの?
子どもがはじめてことばを話すようになってから、親御さんの中には子どもが覚えた単語を記録してきた方も多いのではないでしょうか。はじめは1語からだんだん増えていって、2歳頃には200から300語くらいになっていると言われています。
この語彙ですが、どうやって増えていくかというと、物の名前をひとつずつ覚えていくというより、ネットワークを使って増えていきます。
ひとつの語彙を覚えると、その周辺にある関係する語彙へとネットワークが広がっていきます。新規の単語をひとつずつ覚えていくより、語彙のネットワークに乗って増やしていく方が早道です。
語彙を増やす遊びといえば「なぞなぞ」
たとえば「牛」という答えに対してなぞなぞを出すとすれば、どんな問題を作るでしょう。
"動物の仲間" "「モー」という鳴き声" "牛乳をしぼる" "牧場" "白と黒" "茶色いのもいる" "草を食べる" "牧草"
どんどんことばが増えていきますね。このようになぞなぞ遊びは、語彙を増やすのにぴったりです。
用意するもの
私がよく使っているのはダイソーのあいうえおカードです。ほかにも物の絵が描いてあるかるたやカードで代用できます。仮名文字はあってもなくてもかまいません。
手順
①10枚くらいのカードを選んで並べる。(使うのは絵の面だけ)
②なぞなぞを出し合うゲームであることを子どもに説明し、まずは大人が出題者になる。なお、最後に「なーんだ」や「どーれだ」と言うのを聞いてからとるように指示しておく。
③はじめは見本として、大人が全部のカードの出題し、子どもにとらせる。
④慣れてきたら交互に出し合う。
ポイント
いきなりはじめるとお子さんが何をいえばいいのか戸惑ってしまうので、まずは大人が全部のなぞなぞを出してあげて「こんなふうに言うんだよ」という見本を聞かせてあげましょう。
選択するカードも、問題が出しやすそうなものを選んだ方がいいです。大人でも「説明が難しそうだな」と思ったら、別のカードを選びましょう。
コツとしては、以下のような出し方で始めてあげるとわかりやすいかもしれません。たとえば「牛」のカードなら
・動物の仲間です
・モーと鳴きます
・牛乳を作ってくれます
といったように、3つくらいのポイントにしぼって、短い文章にします。これを3ヒントともいいます。「みかん」の説明なら
・果物の仲間です
・皮を剥いて食べます
・オレンジ色をしています
といった感じで展開できますね。文章が短いと、子どもも真似がしやすいです。慣れてきたら長めの一文にしてもOK。
もし子どもが悩んでいたり、説明のことばが足りないなと思ったら、助け舟を出してもかまいません。「牛」のことを「モーって鳴いて…」と止まってしまったら、「なんの仲間かな。お乳からは何が出るのかな」などと聞いてあげるとよいでしょう。
それから、大事なポイントをひとつ。人が言い終わるのを最後まで聞いてからとるよう、伝えておきます。子どもはことばを大人の模倣で覚えていきます。知らない語彙は暗記では覚えられず、使うことで定着していきます。まずはしっかり説明の仕方を聞いて、それを真似するように誘導してあげましょう。
遊びながら語彙を増やそう
いかがでしたか。親子遊びで増える語彙は、楽しいという記憶と結びついて定着していきます。知育的な本を一冊与えるよりも、実際にことばを使う体験をする方がずっと語彙の成長を助けてくれると思います。
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