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メンタルDNAは受け継がれるもの?

出産のために勤めていた会社を辞めた母。子育てをしながら新聞の求人広告や求人誌を見ない日は無かったといいます。

明治時代を生きていた母の父(私の祖父)からは、常々『三つ子の魂百まで』と言われていたので、決して私が3歳になるまでは働くまい、と決めていたそうです。しかし、今か、今かと現役で働く日を夢見ていたようです。

自分の店を持ちたいと強く夢見ていた母は、父にも訴えます。父から言われた一言は、『家庭の事が完璧にできるならば挑戦してもいい』そう言われ、そこから必死で家庭100パーセント、自分の事業100パーセントの完璧主義な日々が始まるのです。

当時は便利な家電も無ければ、家事代行サービスや、地域の子育てサポート事業なども無い時代。弱音は最小限にしか吐かず、地元からの数少ない友人に小さな協力を得ながら、自分の店を持ち、そして私を育ててくれたのでしょう。『家庭を完璧に、そして事業も完璧に』そういう昭和世代の父は、現代のイクメン世代とは随分違う振る舞いをしていました。

ある日、嫁にも行かない娘に向かって、母がこう言いました。

『あなたは人に甘える事を知らないね~それがとても不憫に思う』

そして、私はしばらくの間そんな母を恨みました。『娘は母の背中を見て育つもんなんだよ』と。

今でも母は、年寄らしい可愛げには少し欠ける厳しいオーラを漂わせ、できるだけ人様の迷惑にならぬようにと、ダンベル体操をして、脳トレをして、新聞を読み、自分の頭で思考しています。電子マネーを使いこなし、スマホを老眼鏡越しに操作して、現代のスピードになんとか必死についていこうとしています。

ある人は多くの財を親から受け継ぎ、またある人は、栄養豊かなレシピの数々を受け継ぎ、ある人は、代々続く匠の技を受け継ぐ。私が受け継ぐこの強靭なメンタルDNAは、今後どのように活用されていくのだろうか。

あの日、母に対する恨みつらみしていた感情は、今では豊かな肥やしとなって、未知なる明日への活力として脈打っているのが聞こえてきます。

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Emma/おしゃれの小部屋
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