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焦げてさらに湧く愛

2年くらい前、野田琺瑯のセールで片手鍋を買うことができた。

真っ白な琺瑯。
きれいである。好きだ。

使い始めるときは焦げたり傷がついたり、
お茶や食材の色がつくのはとっても嫌だなと思っていた。

なので慎重に慎重に使っていた。

そんなある日何かを焦がした。
ショックだったけれど、焦げてもあわてなくてよくて、
重曹を使ってお手入れすればきれいに取れる。
 
この焦げをお手入れしたときに、お鍋が本当に自分の物になった気がした。

またある時は、直接ほうじ茶を煮出して全体的に茶色くなった。

これはまた湯を沸かすことを日々繰り返しているうちに、
段々色が薄くなっていつしか白に戻った。

一度やらかしてしまったらもうおしまいだ。

そんな風に心のどこかで思っていたことが、
取るに足らない心配だったとわかった。
 

色がついてる。


先日も、鍋底に少し色がのこった。
そしてその茶色に愛着が湧いて、
量産品のはずのそのお鍋に対して、
まるで私の印をつけた私だけの一点ものを作ってもらったような気持になった。

不思議であるよ。


投稿192日目


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