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あらすじ ルームシェアをしながら、歌い手活動をしている「明日」と「えむち」。モデル活動も…
なにかがおかしいと気がつきはじめたのは、じぶんの体温よりも高い温度の湯船につかるのがひ…
しみは親指の腹でこすると色味が増して、ほのかに発光した。 わたしはきっと、ここでえむ…
どうして、いつだって手の届く範囲にいてくれないのだろう。欲しいものは欲しいと宣言しなけ…
歌わなくなって久しい。それでも、未だに誘いは来る。身に過ぎた話だ。そんな好意を、都度頭…
常盤色について、世間一般では奇異と羨望の視線を受けることがしばしばだ。正式名称は毛細血…
でも、えむちにはえむちの交友関係があったし、わたしも慣れない外の生活に日々ついていくのに必死で、高校では会話らしい会話を交わさなかった。必要があれば交わしていたのだろうけれど、その必要性をお互い感じなかったのだから仕方がない。でも、偶然にも接点はあった。わたしたちはインターネット上の配信サイトで毎晩、ハンドルネームと二次元の固定キャラクターを設定して、ラジオ番組のような、リスナーとの雑談配信をとっていたのだった。
以前、カンナさんから言われたことがある。 あんたたちはニコイチなんだから、いつまでも…
ほどなくして、わたしと明日のルームシェアは開始された。明日という人間は、せっかくの大学…
「それでさ、さっそくなんだけど」 カップのふたをとり、生クリームをすくっていた明日は首…
起き上がるのが面倒くさい。雨が降っている気がする。頭の奥の奥の方がじんわりと痛んで、寝…
えむちは、そんなカンナさんに心酔していた。 発声練習のためにここへ通い詰め、あまりに…
「あーくそっ、やっと見つけた」 あの日のカンナさんにまた引きとめられたのかと思った。 「…
帰宅すると、明日はほんとうに帰ってきていた。終電帰りのわたしを起きて待っているはずもなく、案の定すやすやと寝息を立てている様子をそっと開けた扉の隙間から見つけると、もうそれだけで膝から崩れ落ちた。 馬鹿みたいだ。明日が帰ってきただけじゃないか。毎朝LINEも送っていたし、途中から返信は来なくなっていたけれど既読はついていた。