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32.01 2次曲線(楕円と双曲線①)

この2次曲線では高校数学で学ぶ内容を紹介します。具体的には、楕円、双曲線、放物線を扱います。


2次曲線と呼ばれる楕円、双曲線、放物線を扱いますが、楕円を除いてすでに学んでいます。双曲線は中学数学の反比例のグラフで、放物線は2次関数で学んでいます。さらに、楕円の特殊な場合である円は図形と方程式で学んでいます。


2次曲線

2次曲線とは  ($${x, \: y}$$に関する2次多項式)=0 で表される図形。つまり

$${ax^2+bxy+cy^2+dx+ey+f=0}$$

を満たす点$${(x, \: y)}$$全体の表す図形のことをいいます。
ただし、$${x, \: y}$$は変数、$${a, b, c, d, e, f}$$は実数定数で、$${a, b, c}$$のうち少なくとも1つは0でないとします。

そうすると楕円、双曲線、放物線の他に2直線も含まれますが、ここでは扱いません。例えば、$${x^2-3xy+2y^2=0}$$は2直線を表します。実際

$${(x-2y)(x-y)=0}$$より、$${x-2y=0 \:\: \text{or}\:\: x-y=0}$$

となり、これは2直線を表しています。

すでに学んでいる2次曲線を具体的に挙げれば

$${x^2+y^2-1=0, \:\: xy-1=0, \:\: x^2-y=0}$$

で、順に円、双曲線、放物線の方程式です。ついでに確認しておくと、集合

$${F=\{(x, \: y)\mid x^2+y^2-1=0, \: x,y\in\mathbb{R}\}}$$

を座標平面上に図示すると円になります。円の方程式はどのような点全体を考えているかを表している式です。慣習で「円$${x^2+y^2=1}$$」と書けば集合$${F}$$を意味しています。中学高校の教科書では集合での表現を紹介しないので分かり難く感じると思います。この数学事始めでは、グラフも図形も集合で紹介しているので自然な流れです。


楕円

楕円、双曲線の定義を述べ、そこから楕円の方程式、双曲線の方程式を導くのが王道ですが、"式の形" と "図形のかき方" を先に覚えてもらいます。定義に関しては次回紹介します。


楕円の方程式

正の実数$${a, \: b}$$に対して 

$${\dfrac{\:x^2\:}{a^2}+\dfrac{\:y^2\:}{b^2}=1}$$

が楕円の方程式で、この形は楕円の方程式の標準形と呼ばれます(※1)。
「=1」が特徴です。


楕円の概形

①  座標平面上に4点$${(a, \: 0), \: (-a, \: 0), \: (0, \: b), \: (0, \: -b)}$$を取り
②  4点を結ぶ長い円をかく
※  楕円の「楕」は長円チョウエンを意味する漢字です。

図形の特徴 $${x}$$軸、$${y}$$軸および原点に関して対称
点Oを楕円の中心、線分AA’, BB' の長い方を長軸、短い方を短軸といい、
4点 A, A’, B, B’ を楕円の頂点といいます。
この図ではAA’の方が長いので、長軸の長さは$${2a}$$,  短軸の長さは$${2b}$$です。

注:もしも$${a=b}$$なら、それは円$${x^2+y^2=a^2}$$です。このように、楕円は円を含みます。


楕円のかき方

例1 楕円$${\dfrac{\:x^2\:}{9}+\dfrac{\:y^2\:}{4}=1}$$の概形は次の手順でかきます。 

①  標準形$${\dfrac{\:x^2\:}{3^2}+\dfrac{\:y^2\:}{2^2}=1}$$で表します。

②  4頂点$${(3, \: 0), \: (-3, \: 0), \: (0, \: 2), \: (0, -2)}$$を座標平面上に取ります。
③  手書きする場合は、4頂点を通る長い円を点線でかきます。
④  楕円の対称性を意識し、頂点がとがらないように実線で結びます。

右が完成図

長軸の長さは6,  短軸の長さは4です。


例2 楕円$${8x^2+y^2=8}$$の概形をかいてみます。
  式の形が標準形でないので標準形に変形します。「=1」の形を作りたいので、両辺を8で割り、分母を平方の形にします。

$${x^2+\dfrac{\:y^2\:}{8}=1 \:\: \Longrightarrow \:\: \dfrac{\:x^2\:}{1^2}+\dfrac{y^2}{\:(2\sqrt{2})^2\:}=1}$$

4頂点$${(\pm 1, \: 0), \: (0, \pm 2\sqrt{2})}$$を座標平面上に取り、点線で結び、その後、実線で結びます。

右が完成図

長軸の長さは$${4\sqrt{2}}$$、短軸の長さは2、楕円の中心の座標は$${(0, \: 0)}$$.

注:実際に描くと分かりますが、点線は概形をつかむためのものなので歪んでいても構いません。実線で描くときに調整します。点線があると想像以上にうまく描けます。


双曲線

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