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31.21 ベクトルの初歩(準備 座標空間)

空間内の数ベクトルを扱うための準備です。座標空間が書けることと、座標空間内に点が取れることが目標です。


座標空間

平面上の点を表す1つの方法が座標平面というものでした。平面上に直交する2直線を引き、その交点をOと名付け、その点Oを原点と呼びました。
このとき、一方を横軸、もう一方を縦軸とし、原点を基準に右側をプラス、左側をマイナス、上側をプラス、下側をマイナスとします。これによって平面上の点を横の目盛りと縦の目盛りの順に2数の組で表し、これを座標と呼び、特に、横の目盛りを$${x}$$座標、縦の目盛りを$${y}$$座標といいました。

これから扱おうとするのは立体などの空間内の図形や点です。それを扱うための1つの方法に座標空間というものがあります。

いまあなたの足元に座標平面が書かれているとします。原点Oのところに、座標平面に直交するように直線を立てます。これを高さ軸と呼ぶことにします。この高さ軸は上側をプラス、下側をマイナスとします。これによって空間内の点の位置を表すことができます。つまり、横の目盛りと縦の目盛りに高さの目盛りも考えて、この順に3数の組で表します。これも座標といい、特に空間座標と呼ばれます。これに対し、これまでの座標は平面座標と呼ばれます。横の目盛りは$${x}$$座標、縦の目盛りは$${y}$$座標、そして新たな高さの目盛りは$${z}$$座標と呼ばれます。

図示すると次の通り:

どちらも2点$${\text{A}(3, 2, 0), \: \text{P}(3, 2, 1)}$$を図示したものです。
いまの段階だと、左の図の方が見やすいと思いますが、よく使われるのは右の図です。右の図は左の図を z 軸を中心に回転させたものになっています。
3本の$${x}$$軸、$${y}$$軸、$${z}$$軸の向きは、座標平面のときのように決められていて、右手系 (みぎてケイ) という規則に従っています。
まず右手の親指・人差し指・中指を互いに直交するように開き、薬指と小指を折り曲げた形にします。中学理科で学んだフレミングの左手の法則を右手で行った形です。ちなみに、フレミングの右手の法則というのもあり、高校物理で学びます。親指の向きが$${x}$$軸、人差し指の向きが$${y}$$軸、中指の向きが$${z}$$軸で、この形で座標空間は書かれます。

ここで改めて上の図を見てみると、どちらもその規則に従っていることが確認できると思います。


点の図示について

基本は平面図形のときと同じで、点から3本の$${x}$$軸、$${y}$$軸、$${z}$$軸にそれぞれ垂線を下ろしたときの目盛りを順に読み取ります。
上図の2点$${\text{A}(3, 2, 0), \: \text{P}(3, 2, 1)}$$はそのように読み取っています。

点$${(3, 4, 5)}$$を図示する場合は、$${xy}$$平面上に$${(3, 4)}$$の点を取って、その点から$${z}$$軸方向に (上に) 5進んだところに点を取ります。言葉で説明するのはかんたんなのですが、これを図示するとなると最初は難しいと思います。もう1度図 (↓) を見てください。点Pから垂線を下ろしているのですが、実際にはそうなっていませんね。どのように書いているかというと、直方体を描く要領で書いています。つまり、平行四辺形を意識して書いています。

下の図で点線は平行を意識して書いています。どの線と平行なのかを観察してください。

右図で説明すると、点Pは点Aから上に1上がったところにあります。逆に点Pから$${xy}$$平面に垂線を下ろし、その足が点Aです。
点Aから$${x}$$軸に垂線を下ろすときは、$${y}$$軸と平行に引いています。
点Aから$${y}$$軸に垂線を下ろすときは、$${x}$$軸と平行に引いています。
点Pから$${z}$$軸に垂線を下ろすときは、直線OAと平行に引いています。
直線PAは$${z}$$軸と平行に引いています。

最初はこれが難しいのですが、書けるように練習してください。直方体を意識するのがポイントです。

なお、座標平面のときとは違い、座標空間で点を取ったり、直線や平面や立体などを書くことはほとんどありません。具体的に書くときは、それが書きやすいときがほとんどです。いまはCGを使えば簡単に書けますが、実際に手書きしようとすると大変です。高校数学の教科書は比較的図が書かれていますが、専門書になると「幾何」の本であっても座標空間を使っての図はほとんどありません。
ではどうしているかというと、座標空間を書かずに、参考程度に図を書きます。これまで書いてきたようにです。それで十分です。そうであっても、座標空間に点を取れるようにしてください。比較的書きやすい図形くらいは書けた方が良いからです。

まずは、座標空間が書けることと、座標空間上に点が取れるようになりましょう。


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