32.05 2次曲線(曲線のパラメーター表示)
パラメーター表示 (媒介変数表示) はベクトルの方程式でも顔を出しました。ここでは2次曲線のパラメーター表示の仕方を紹介します。
後半は32.02で紹介できなかった話をします。ここでは計算力も養えます。
パラメーター表示
パラメーター表示は中学数学にも顔を出しています。例えば
直線$${y=2x+1}$$上の点Pの$${x}$$座標を$${a}$$とするとき、$${y}$$を$${a}$$で表せ。
というのがあります。この答えは$${2a+1}$$ですね。このことから点Pは
$${\text{P}(a, \: 2a+1)}$$
と表せることが分かります。これがパラメーター表示です。見方を変えると直線$${y=2x+1}$$が実数変数$${a}$$を用いて
$${\begin{cases} x=a,\\ y=2a+1 \end{cases}}$$
と表せたのです。$${a}$$がいろいろ変化すると点Pも動きます。その点の描く軌跡が直線ということです。
いまは中学数学を意識して文字$${a}$$を用いましたが、$${t}$$を用いることが多く、次に$${s, u, t, k, \ell}$$なども用います。$${t}$$が用いられるのは物理学で時間を変数とする物体の運動を考えるからです。$${t}$$は time の頭文字です。この文字のことをパラメーター (parameter) といい、この文字が座標$${x, y}$$を決める仲立ちをしていることから媒介変数と訳されています。他に、助変数や径数(けいすう)という訳も使われていますが、どれを使うかは好みです。ここではパラメーターを使うことにします。経済学や社会学に関するは話でも時折パラメーターを耳にしますが、なぜか難しく聞こえます。
一般に、曲線上の点$${\text{P}(x, y)}$$が変数$${t}$$によって
$${\begin{cases} x=f(t),\\ y=g(t) \end{cases}}$$
と表せるとき、これを曲線のパラメーター表示といいます。
ここで、$${f(t), \: g(t)}$$は$${t}$$に関する式と思っていて構いません。実際は$${t}$$の関数です。
例1(放物線のパラメーター表示①)
放物線$${y=x^2-4x+2}$$をパラメーター表示してみます。
方法1 $${x}$$を$${t}$$とすると$${y=t^2-4t+2}$$となるので
$${\begin{cases} x=t,\\ y=t^2-4t+2\end{cases}}$$ ・・・(1.1)
とかけます。他にも、平方完成を利用して次のようにもできます。
方法2 $${y=x^2-4x+2}$$を平方完成すると
$${y=(x-2)^2-2}$$
と変形できるので、$${x-2}$$を$${t}$$とすると$${y=t^2-2}$$となるので
$${\begin{cases} x=t+2,\\ y=t^2-2\end{cases}}$$ ・・・(1.2)
ともかけます。
ところで、(1.1)と(1.2)は同じ放物線を表しているのでしょうか。結論は同じ放物線を表しています。これは、それぞれの式から$${t}$$を消去することで確認できます。
(1.1)において第1式を第2式に代入すると$${y=x^2-4x+2}$$を得ます。
(1.2)の第1式を$${t=x-2}$$として第2式に代入すると同様に得られます。
気づいたと思いますが、これはそれぞれの方法の逆を辿っています。
例2(放物線のパラメーター表示②)
放物線$${y^2=4x}$$をパラメーター表示してみます。
方法1 $${y}$$を$${t}$$とすると$${x=\dfrac{1}{\:4\:}t^2}$$となるので
$${\begin{cases} x=\dfrac{1}{\:4\:}t^2,\\ y=t\end{cases}}$$
とかけますが、この表現は避けがちです。分数になっているからです。
方法2 $${y}$$を$${2t}$$とすると$${x=t^2}$$となるので
$${\begin{cases} x=t^2,\\ y=2t\end{cases}}$$
とかけます。
例1と例2をみて分かるように、パラメーター表示は一意ではありません。
注:$${x}$$を$${t}$$とすると2組の式が必要になり、煩雑になります。
例3(円のパラメーター表示①)
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