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すぐ言葉にして伝えるのって難しい

長年、言葉に携わる仕事をしてきたにもかかわらず、私には語彙力がない。あくまでも自分でそう思っているだけなので「そんなことない!」と言ってくれる人もいるかもしれない…
「ウソでしょ?」と思ってくれた人、ありがとう。

私はかつて、その場ですぐに言葉を口に出して「伝える」ことが苦手だった。それって、実はハードルが高いことだと思うのよね。

すぐに切り返しができる人、気づいていないかもしれないけど、すごいことだからね?

そんな私も、書くときは時間をかけて考えをまとめられるから伝えやすい。だからライターをやっているといってもいい。

今回は、考えたことをすぐに言語化することの難しさについて考えてみようと思う。

映画の感想をうまく伝えられない

たとえば、20代前半の頃、映画が好きでよく一人で観に行っていた理由の1つに、誰かと一緒に映画に行ったあと「自分の感想を伝えるのが苦手だから」というものがある。

面白かったとか、つまらなかったとか、それだけならいい。でも、

「どこがどんなふうに面白かったのか?」
「なぜつまらなかったのか?」

を掘り下げてすぐに答えられないのだ。

また、一緒に行った相手に

「あのシーンにこの監督の特徴的なところがあったよね」
「最後のセリフはこういう意図があって言ったものだと思わない?」

と、細かいところに同意を求められても、何も答えられない。

だったら一人で行くほうがラクじゃない?
もちろん勝手に話してくれるだけなら聞き役に徹するだけだから問題ないのだけど。

私にとって大切なのは、その映画に感じるものがあったかどうか

私は感覚的にしか物事がとらえられないタイプ。だから口にするとどうしても陳腐な言葉しか出てこなくなる。
それに、一人で映画の余韻に浸りたいときも多い。言葉でどうこうじゃなく、ただただ感じていたいし、好きなシーンをセリフを音楽を思い返したいのだ。

似たようなことをアメブロにも書いているので、よかったら読んでね。

自分の感覚に一致する言葉が見つからない

映画全般が好きなので、私はオールジャンルOKだし、何でも観るようにしている。いわゆる雑食タイプの人間だ。

ただ、いろんなジャンルを観てきたなかで、どうしても受け入れられない映画監督がいる。この監督の作品はどれも色彩はキレイだし、ストーリーだってさほどグロいわけじゃない。
なのに、なぜか好きになれない。
その「なぜ」を深掘りしたいのに、語彙力がなさすぎて、この感覚を言葉に表せない。この部分が語れたらいいのになって、いつももどかしい思いをしている。

自分なりに感じていることを言葉にするのが難しいのだ。

私は大学時代から文字に関わる仕事や勉強をかなりしてきたほうだと思う。それなのに、物事を感覚的に捉えて、言語化しようとしてこなかったせいか、語彙力が増えた気がしない……

語彙力がなくても文章は伝わる

そんな語彙力がないわたしができること。
それは、人が何を言いたいのかを読みとって伝わりやすい言葉にすること。読書が好きだからか、語彙力はなくても分かりにくい言葉を理解する力はあると思う。
おかげで、分かりにくい言葉や表現を、誰もが理解できるように言語化するのが得意。それは、語彙力がないからできることだと思っている。
だって、語彙力がある人だったら、分かりにくい言葉をそのまま受け流してしまうでしょう?

私がライターとして書いた文章を読みやすいと言ってもらえるのは、おそらく「語彙力のなさ」があるからじゃないかと思う。
感覚でしか物事を捉えられないから、なるべく自分の感覚にもっとも近い言葉を選ぶしかない。その言葉が中学生でも分かる日本語レベルなのである。

だから言葉のセンスにあふれている人は本当にすごいと思うし、インテリジェンスがあって羨ましいなと感じる。
「ライターなのに…なぜ?」と、ときどき自分の表現力の乏しさにガッカリすることだってある。
けれども、どんなにカッコいい言葉を使っても、人に理解してもらえなかったら意味がないんじゃないかな?

とにかく語彙力がなくても気にしない!
伝わることが大事なのだから。

うまく話せなくても、書けなくても

うまく話せない、書けないのは、相手の言いたいことが理解できないからというのも理由の1つだと思う。

話しているときは、分かったフリをして聞き流すんじゃなく「どういう意味?」と質問するほうがいい。
かつての私はプライドのせいなのか、会話を止めるのが申し訳ないからなのか、理解できなくてもつい頷いてしまうときがあった。
すると、相手から「どう思う?」と聞かれても何も答えられない。
会話のキャッチーボールを続けるには「素直さ」も必要なのだ。


私は、うまく話せない代わりに書くことで代弁しているだけ。それも簡単な言葉で。

ただ場数を踏んできたおかげで、話すことにはだいぶ慣れてきた。

逆に思ったことを口にするのは得意だけれども、書くのは苦手…という人は、とにかく書いてみるのがいい。

話すにせよ、書くにせよ、とにかく「慣れる」までやってみる。
チャレンジなくして成功なし!なのだ。

もっと自信を持って伝えていこう

かつての私のように、すぐに口に出して伝えるのが苦手な人ってたくさんいると思う。
でも、あとから冷静になって「書く」ことで思考整理すれば、伝えられる人もいる。

だから、すぐにうまく伝えられないからといって、話すこと、書くことを諦めないでほしい。思いを伝えるときに、無理に難しい言葉を使う必要はない。誰にでも伝わる簡単な言葉のほうがいい。
それがたとえ違和感のある言葉であっても「当てはまる言葉が見つからないから」と前置きして話せばニュアンスは伝わるはずだ。あとで見つかったときに、その言葉を伝えればいい。

人と話すのが苦手な人は、考えをまとめる時間を持ってみよう。
聞く側も、相手からうまく言葉を引き出すようにし、適切な言葉が出てくるのを待つ。
それでも話せないなら、後日書いて伝えてみて。

コミュニケーションはこうやって成り立っていくものなんじゃないかな。

だから、自分の言葉で話すこと、書くことにもっと自信を持っていこう。

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こと(片付けコラムニスト)
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