緊急事態宣言を聞くと、この世界の片隅にを思い出します。というお話
「緊急事態宣言、発令中です」
毎朝会社に行くと、
自治体が無機質な抑揚のない声で
この言葉を流しています。
あと夜も。
これを聞きながら私は、
何故かいつものように
「この世界の片隅に」
を思い出すのです。
私がその映画を観て感じた事は、
「何が起こっても、
生きている人は生きていて、
そして生きていくんだな」。
なんだかこう書くとバカみたいな感想。
でも、
本当にそれ以上でもそれ以下でもないのだと
思いました。
もちろん、
近しい人が亡くなったりして
悲しくて、苦しくて、
もう私のチャチなボキャブラリーでは
語り尽くせない想いを抱えることも
あるのでしょう。
でもそれは、
いつしか日常になり、
生きている側の人間は、
生きている。
生きているから、生きる。
そうなるのだな、と思いました。
そこでなぜ、
緊急事態宣言を聞いて、
「この世界の片隅に」を思い出すのか。
私は思うのです。
きっと、この風景を、
人通りが減った東京の街並みを、
無機質なスピーカーから流れる注意喚起を、
マスクやティッシュや、ホットケーキミックスを奪い合う人々を、
もし、小説や映画なんかで読んだり、観たりしたら、
きっとそれはそれは、
壮大な物語が始まるのだろうな、と
誰もが思うのではないかな、と。
でも、
今はそれが私たちの日常で、
そして今生きている。
なんだか、
この世界の片隅にみたいだなあ
と、そう思うのです。