日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録し、Google検索数が急上昇した「追証」とは何か?
株式投資の世界では、さまざまなリスクが伴います。
その中でも、信用取引でトレードをしている方は特に「追証(おいしょう)」には、注意が必要です。
2024年8月5日、日経平均株価の終値がたった1日で 4,451円も下がり、1987年10月に起きたブラックマンデーを超える史上最大の下げ幅となりました。
※ちなみにブラックマンデーの下落幅は、-3,836.48円です(1987年10月20日)
この影響により、多くの市場参加者は多額のお金を証券口座に入金しなければならなくなり、それが出来なかった投資家たちは借金を抱えて市場から退場することになります。
今回は、追証が何であるか、どのような状況で発生するのか、そして追証を回避するための対策について詳しく解説します。
追証とは何か?
追証とは、証券取引において、証券会社が投資家に追加で求める証拠金(保証金)のことを指します。
具体的には、信用取引や先物取引などの証拠金取引を行っている際に、保有する株式の価格が大きく下落し、証拠金の維持率が一定の基準を下回った場合に発生します。
証券会社は、この維持率を保つために追加の資金を要求するのです。
例えば、信用取引で1,000万円分の株を買うために、証拠金として300万円を証券会社に預けているとしましょう。
この時、株価が下落して保有する株式の価値が800万円に減少した場合、証券会社はリスクを軽減するために、証拠金を追加で200万円要求することがあります。
これが追証です。
追証が発生するメカニズム
追証が発生するメカニズムは、信用取引や先物取引などにおけるレバレッジ(てこ)効果に関連しています。
レバレッジを利用することで、投資家は手元の資金よりも大きな金額の取引を行うことができます。
しかし、その分、リスクも大きくなります。株価が期待通りに動かなかった場合、損失も大きくなる可能性があります。
信用取引では、投資家が証券会社に証拠金を預け、その証拠金を元に証券会社からお金を借りて株式を購入します。
言い換えれば、証拠金を担保に借金をして、株式投資をしていることになります。
この時、証券会社は投資家の証拠金が一定の維持率(通常20〜30%程度)を下回らないように監視しています。
もし株価の下落により、証拠金の維持率が基準を下回った場合、証券会社は追証を要求します。
投資家が追証を支払わない場合、証券会社は強制的に保有する株式を売却することがあります。
追証のリスクと影響
追証の最大のリスクは、想定外の損失が膨らむ可能性があることです。
追証が発生すると、追加の資金を用意しなければならず、それができない場合、証券会社によって強制的に株式が売却されることになります。
この強制売却により、損失が確定し、さらなる資金を失う可能性があります。
特に、株価が急激に下落するような相場では、追証が発生しやすくなります。
たとえば、2008年に起きたリーマンショックのような金融危機や、大規模な自然災害、政治的不安定要素などが原因で株価が急落した場合、多くの投資家が同時に追証を受け、強制売却が相次ぐことになります。
直近の出来事で言えば、2024年8月5日の日経平均株価史上最大の下落でしょう。
このような状況では、さらなる株価下落を引き起こし、悪循環に陥ることがあります。
追証を回避するための対策
追証を回避するためには、以下のような対策が考えられます。
適切なレバレッジの利用
レバレッジを高くしすぎると、リスクもそれに比例して高まります。取引を行う際には、自分のリスク許容度をよく理解し、適切なレバレッジを設定することが重要です。
ポジション管理
一度に多くのポジションを持つと、それだけ追証が発生するリスクも増加します。ポジションを分散し、リスクを分散することで、追証リスクを低減することができます。
損切りの徹底
株価が下落した際、損失が拡大する前に損切りを行うことで、追証を避けることができます。
事前に損切りラインを設定し、そのラインに達したら感情に流されずに売却を行うことが大切です。
ですが、たった1日で日経平均株価が4,000円以上も急落するのは異常なので、このような状況の時はイレギュラー対策として冷静になって行動すべきです。
8月5日の大幅下落は冷静な判断が出来ず、パニック売りした投資家が多かったことも原因だと言われています。
相場の監視と情報収集
市場の動向を常に把握し、リスクが高まっていると感じたら、早めにポジションを減らすなどの対策を講じることが必要です。また、最新の経済ニュースや市場予測を積極的に収集し、リスクを事前に予測することも有効です。
現金の確保
追証が発生した際に対応できるよう、ある程度の現金を手元に残しておくことも重要です。
投資に回す資金の全額を使い切らず、緊急時に備えることがリスク管理の基本となります。
『投資は余剰資金でやるべき』はこのためです。
私も8月5日の株価急落で約100万円の追証をくらいましたが、現金はほぼビットコインに換えていたため、追証要求分だけウォレットから引き出して証券口座に入金しました。
追証が発生した場合の対処法
万が一、追証が発生してしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
冷静な判断
まず、追証が発生したことにパニックにならず、冷静に状況を分析することが重要です。
焦って不利な売買を行うことは、さらなる損失を招く可能性があります。
追証の支払いかポジションの整理
追証を支払うか、ポジションを整理して証拠金維持率を回復させる必要があります。
追加の資金を用意できる場合は、追証を支払うことでポジションを維持することができます。
しかし、資金が用意できない場合や、今後の株価下落が予想される場合は、現物保有している株を売却するなどポジションを整理することが賢明です。
証券会社への相談
追証の支払いが難しい場合や、今後の取引方針について悩んでいる場合は、証券会社のサポートに相談することも一つの手段です。
場合によっては、証券会社が柔軟な対応をしてくれることもあります。
追証は、株式投資における大きなリスクの一つであり、特に信用取引や先物取引を行う投資家にとっては注意が必要です。
しかし、適切なリスク管理と情報収集を行い、慎重に取引を進めることで、追証のリスクを大幅に減らすことができます。
株式市場は常に変動しており、予測不可能な事態が発生することもあります。
したがって、投資家としては追証が発生するリスクを常に念頭に置きながら、適切な資金管理と取引計画を立てることが成功への鍵となります。
追証についての知識を深め、そのリスクをしっかりと管理することで、より安全で効率的な投資活動を行っていきましょう。
もし、証券会社から追証を要求され、支払えるお金がなく、売却できる保有株もないとしたら、家族や友人に頼るか、カードローンなどでお金を調達しましょう。
追証を支払わず放置すると、訴訟に発展したり、給与や車、家財などを差し押さえられたり、自己破産したりと悲惨な目に遭います。
そんな状況になる前に、早めに信頼できる人に相談することをお勧めします。
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